【11.本当のお父さんは、おじいちゃんだった。】駅裏 雀荘物語

ミッチャンの激白ストーリーは、正直、重かった。

次から次へと新事実が飛び出だしてきて、

気持ちをしっかり持ち続けるのが難しい程だった。

きっと、アパートの人達も、

俺たち二人の、えーーーーーッと驚く声に、

何度もビックリさせられたに違いない。

まさか、バイト先の会長さん、山城大蔵が本当のお父さんだったとは。

リョウ子さんが、落ち着きを取り戻すまで、ちょっと休憩が必要だった。

ミッチャン、タバコ吸いたいんだけど、、

あ、ゴメン、いいよ。

ベランダでお願いねー。

オッケー、灰皿ある?

あるある、外に置いてあるから、

ミチコも吸おうっと。

ハイハイ、リョウ子さんもね、ちょっと休憩。

流石に女の子なのか、部屋の中ではタバコを吸っていない様だった。

リョウ子さんが先頭で右側の引きガラス戸を、ガラガラッと開けた時、

キレイに拭かれたガラスに写ったミッチャンが、

あ、り、が、と、

と俺に向かて小さく言ってくれたのが見えた。

なんか、ジーンと来た。

こんな話、本当はしたくなかったんじゃないかな。

それを、俺たち二人が無理に押しかけて、、

三人が、ベランダの手すりに肘をついて、すーッとタバコを吸い込むと、

タバコの火が明るくなって、二人の横顔を少し照らしたとき、奥に見えたミッチャン顔に、

いつもの、あのカラン、コローンと誘いに来てくれる元気な笑顔はなかった。

これから、どうするんだろう、ミッチャン。

ずっと、ここに住むのかな。

でも、どうして、お母さんは、会長さんと、、

年だって、ぜんぜん違うし、、

落ち着いてくると、疑問がいっぱい湧いて来た。

でも、特に聞きたいとも思わなかった。

きっと、大人世界の事で、聞いたところで、

そうなんだ、としか言えないのは分かっていた。

タバコを吸い終えて、再び部屋へ戻って、

同じ場所に座った。

ベッドの上に座ったミッチャンは、膝を抱えて足の指の方を見つめて、

何も言わなかった。

リョウ子さんは、そんなミッチャンを優しく眺めて、

大変だね、ミチコ、でも元気だして、、

と大人の言葉を投げかけた。

違う、と俺は思った。

元気が出るとか出ないとか、そんな事じゃない。

どうしようもないんだと思った。

お母さんの事は、ショックだろうけど、どうしようもない。

お父さんの事も、最初はすごく悩んだろうけど、それだって、どうしようもない。

元気が無いわけじゃないんだ、きっと。

どう、振る舞うのが良いのか分からないから、大人しくしてるんだと思った。

でも、ミッチャンは、凄い、

わーって、騒いで暴れたいかもしれないのに、

落ち着いている。

もし、お父さんの事がショックで嫌いなら、ここには住んでないと思うし、、

ミッチャン、一つ聞いていい?

お父さんとか向こうの家族の人とかに会ったことあるの?

うーん、少しダケかな。

部長さんは、たまに会社で見るし、

でも、向こうのお家には行ったことないよ。

そりゃそうだよね。

リョウ子さんも、思わず声を出した。

たぶん、リョウ子さんは大人だから、いろいろ考えているんだと思った。

ミチコだって、行きたくないよー。

ぜんぜん知らない人達だもん。

それに、お父さんだけじゃなくって、奥さんだっているでしょ。

それに、部長さんが、お兄さんなんだよ。

そんなところへ、どんな顔して行けばいいの、

ミチコです、よろしくって、無理でしょ。

お母さんが、一回目に入院したときにね、

病院に行ったら、男の人が来て、

山城大蔵さんの代理のものですって、挨拶されたの。

たぶん、お母さんが連絡したんだと思う。

それで、何だって? 代理の人は、リョウ子さんが追いかけて聞いた。

うん、最初は、お母さんに連絡を貰ったって言ってて、

それで、昔、お世話になったからお見舞いに来たと言ってた。

まあ、作り話って言うか、ミチコを心配してそう言ってくれたんだと思う。

その人は、弁護士さんだったんだけど、病院の事とかは大丈夫だから安心してって、

それで、明日は、別の人がお見舞いに来ますからって言って帰って行ったの。

そして、次の日に、部長さんと、島崎さんが着てくれて、

え、鬼瓦も、、

そう、部長さんの方は、父がお世話になったのでと、弁護士さんと同じこと言ってて、

自分は仕事が忙しくてあまり来れないから、島崎さんが世話してくれるとか言ってた。

それから、島崎さんは毎日のように来てくれたの。

お母さんが退院する日も島崎さんが来てくれて家まで送ってくれて、、

その後は、前に話した通り、お母さんとはケンカしてばっかりで、

友達のところに泊めてもらったり、たまに家に帰ったり。

そんな時も、島崎さんが何回も家に来てくれて、学校にも来たんだよ。

え、学校にも、

今度は俺が驚いた。

島崎課長って、何者なんだろう。

面接してもらった時の事を思い出した。

お前は、働き者か?

たった、これだけしか聞かれなかった。

その、島崎課長さんが、わざわざ学校へ。

まあ、会社の会長さんの命令で世話してるんだから当然かあ。

ミッチャン、

何?

で、どうして、お父さんだって分かったの。

お母さんが、退院してしばらくしてからかな、

大事な話があるって、久しぶりに外に食事に行ったの。

そこで、全部聞かされた。

正直、あまり驚かなかったけど。

入院中も、退院中も、ずっと島崎さんが良くしてくれていたし、

なんか、おかしいなーって思ってた。

ひょっとして、部長さんがお父さんなんじゃないかって考えたくらいだよ。

だって、お母さんと年近いしね。

でも、本当の話聞いた時、ちょっと嬉しかったの。

あー、ミチコにも、本当のお父さんがいたんだってね。

それから何日かして、お父さんと、部長さんと島崎さんの5人で、会ったの。

本当のお父さんを見た時は、おじいちゃんって思ったよ。

77歳だって言ってた。

でも、おとうさん、今まで苦労を掛けてすまなかったと、謝ってくれて、

部長さんも、オヤジの事を許してやってくれと謝ってた。

そして、この後は、ちゃんと面倒見るからと約束してくれて、、

正直、どうしていいか分からなかったなあ、あの時は、、

そしたらね、

島崎さんが、突然、話し出して、

会長、ちょっと、よろしいでしょうか。

俺が預かりますって、言い出したの。

えーーッ、

えーーッ、

また、二人同時だった。

ちょっと、ノッポ、真似しないでよー、

あッ、それは、リョウ子さん、

俺、ホントにびっくりして、

冗談よー、焦んないの、

どうして、鬼瓦がミチコの事を預かるって、言うわけ。

ミチコも、びっくりしたよー、ホントに。

たぶん、島崎さん知ってたんだと思う。

お母さん、退院して、仕事戻って、また新しい彼氏が出来たのをね。

それに、ミチコも不良してたから。

学校でも、そんな話してたんじゃないかなあ。

それで、ミチコは何、鬼瓦のところに世話になってたの?

最初は、絶対いやだって言ってたんだけど、

家にも帰りたくなかったし、

でね、最後は、お母さんが、お願いしたみたい。

夜の仕事だったし、預かってもらえると助かるとかね。

私には、夜一人にさせるのが心配って言ってたけど、

違うの、きっと。

新しい男と一緒に居たかったんだと思う。

それで、私が邪魔になったんだと思うの。

こんな、ひどい話あるのか、

俺は聞いていて、腹が立って仕方がなかった。

オッケー、ミチコ。今日はもういいわ、このぐらいで。

終わりしましょう。

聞いてるだけでも、頭おかしくなりそうよ。

あー、ビールなーい?

おいおい、16歳の女の子の家で普通にビールかよ、

そんなもん、あるわけが、、

あるよー、冷蔵庫に。

えッ、あるの?

ノッポー。私、今夜、ここに泊めてもらうからね。

ミチコ-、良いでしょう。

ベランダに一服しに行ったミッチャンの後ろ姿に声を掛けていた。

何々、リョウ子さん泊まってってくれるの?

ミッチャンの顔が急に明るくなって、楽しそうだった。

やっぱり、寂しいんだなと思った。

ノッポも、泊まってく?

ミッチャンに聞かれて、真に受けて、

えッ、俺?

人差し指で、鼻の辺りを指さして、

俺は、ちょっと、、

ちょっとー、ミチコ、止めなさーい。

ノッポ、本気にしているでしょう。

リョウ子さんにそう言われて、

顔面が、かーッと熱くなった。

何だよ、二人で、おちょくんなよー。

くそーッ、タバコだッ、

ベランダに行こうとすると、

ミッチャンに、赤くなってるよーと言われて、

思わず、

うっせーよミチコ、って呼び捨てにしてしまった。

あっ、と思たけど、もう勢いで、

これからは、ミチコって呼ぶからな、と言うと、

だから、最初っから、ミチコで良いって言ってたのに、フフフッ、て笑われた。

コイツはきっと頭の回転の速い小悪魔だと、その時思った。

リョウ子さんは、冷蔵庫からビールの大瓶を出して、

コップを3つテーブルの上に置いて、

乾杯しようと言った。

何に乾杯? ミチコが聞くと、

私たち3人よ!

私は、ちょっと年上だけど、ちゃんとした友達だからね。

ノッポも一緒、まだ知り合って間が無いけど、

そんな事、どうだっていいじゃない。

いまここにいるんだから、3人で。

よーし、いい、じゃ、3人に、

カンパーイッ/

やはり、この人は、変わっている。

普通、16才二人目の前にして、ビールで乾杯って、

まあ、いいや、お陰で、なんか元気出て来たし。

乾杯ー!

その後、俺はもう一服タバコ吸いをにバルコニーに出た。

後ろでは、リョウ子さんが、ミッチャンに、ビールがどうしたこうしたと聞いている様子だった。

そして、見てしまったッ。

ミッチャンが、指を唇の前で立てて、シーッ、

リョウ子さんも、ゴメンって感じで、手を上げてたのを、、

俺は、その会話が聞こえていなかった振りをして、

じゃ、そろそろ帰るよと、二人を残してアパートのドアを閉めた。

バイクに乗って、夜の涼しさを体に受けているのに、

胃袋の辺りから、痛く熱いものが上がって来た。

このビール、キヨシのだった?

耳の中には、リョウ子さんが呟いた言葉がハッキリと、

鳴り響いていた。

つづく、、

【おまけ】

物語も、ミチコの告白によって複雑になった。でも純愛ストーリーの行方は、どのようにクライマックスを迎えるのか。この後、この3人に何が起こるのか、、えッ、あの人と、この人が、、

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