その時、小さな悪魔が囁いた
その物(ぶつ)は、人に触れられた回数が多かったのだろうか、皮の部分にところどころ艶が出ていた。
使い込まれた感じはあるが決して汚い代物ではない。
重みがあって中身はぎっしりと詰まりパンパンに張っていた。
そして、外側にはジッパーが付いていた。
★★
場所は、JRの某駅。
仕事を終えた帰り道、疲れ切った体をよいっしょ、よいしょと持ち上げて、階段を上がって今度は降りた。
ふー、向かいのホームへ降りた、その時だった。
おやッ?
違和感センサーが、ピピッと音を立てて股間にもキュンと緊張が走った。
私の眼前、空いていればいつも座る一番手前のベンチの上に、その物を見つけたのだった。
財布だ!
久しぶりだ。
これで何度目だろう。
私は、これまで幾度となく財布や現金を拾ったり見つけたりした経験がある。
その事は以前に投稿した事があるからレギュラー諸氏ならご存知かもしれない。
ちなみに、こんな投稿だった。
まあ、興味があれば読んでいただければ良い。
話しを続けよう。
財布を見つけた瞬間、正直、嫌なものを見つけたなと思った。
あと少しで帰りの電車がやって来るからだ。
今から駅の窓口へ持って行っていては間に合わない。
かと言って、これを電車に持ち込んで降車駅で届けるのも盗んでいるように思われるかもしれない。
困った、、どうするか。
周りにもそれなりに人がいたが、誰も気付いていない様子だ。
一つ離れた右側の席にも客がいるが、スマホいじりに夢中でこれまた気付いていない様子だ。
腕時計を再度確認した。
電車到着まで2、3分しかない。
あの階段をもう一度登って降りて、、そんな時間も体力もない。
仕方ない。
電車が来たら、財布と共に乗り込もう。
そう思った時だった。
向かいのホームに女性の駅員さんがバタバタと現れて、タッタッタと階段を登り始めたのだ。
あ、きっとこの財布を探しに来たんだと瞬時に感じ取れる焦り感のある足取りだった。
ホッとした。
電車が来る前に、事が解決しそうな雰囲気だ。
この財布を駅員さんに渡して、ハイッ、終わり。
しかし、その時だった。
右の耳の傍らで、小さな小さな悪魔が囁いた、、
良いのか、それで。
本当に、それで、、、中身、、見なくても、、
、、
だな。
★★★
【おまけ】
人は誘惑に弱い。
果たして、ノッポ君は、財布を駅員さんに渡したのだろうか?
★★★
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【お礼】ご訪問ありがとうございました。
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