不可思議事件簿、18才の大学生と。。。
先日、10代の大学生と話す機会があった。
たまたま同席した間柄で、それまでの関係は一切ない相手だった。
彼の体は大学生のそれで、こちらが経験と共に纏わり付けた贅肉と呼ばれるような余計なものが一切付いていない、我々が取り戻しを願う夢の様なスラリ型であった。
1対1、初対面の人としての会話が始まり互いに軽く挨拶を絡ませた。
こちらは、仕事などを通して大学生と話す機会はさまざまあったが、久しぶりと言えば久しぶりで多少の緊張感があった。
新しいキャバクラへ初めて足を踏み入れる時以上の緊張感と言えば少しお判りいただけようか。
お相手の方は、今年の春に大学生になったばかりの18才。男性と言えどもピッチんパッチんの肌艶で、私の様な中年オヤジと話すのは家族ぐらいしか経験がない筈である。
彼の方からも何とかコミュニケーションを図ろうと試みるが今一会話の内容に共通点が見出せないようであった。
分かった。
ならば、少し会話のエンジンを掛けてやろうといくつか質問を出してみた。
聞き出せたのは、彼が関東出身で京都の大学にこの春から通うフレッシュ君と情報だった。
同席していたのは、我々二人だけではなく他にも数人がいたのだが、他の御仁達も我々の会話に聞き耳を立てて腕組みをし唇を尖らせている。
これは、オヤジ達が興味を示している時の表情パターンで決して憤慨しているわけでは無い。
彼の話は進んで、文系(経済系)の学生(1年生)である事も分かった。
ここで、一人のオヤジが彼の話に喰いついた。
そうか、経済学部かあ。
その御仁、若い頃に起業していくつかの商売をやって来たとの事であった。
世間一般、いや、飲み屋なんかでは「社長」と呼ばれる仕事をしてきたという事らしかった。
御仁は、大学生君に語る振りをして、楽しそうに自分の思い出ばなしに華を咲かせ出した。
起業するなら若い時の方が良いぞ、経験は財産だからとアドバイスを送り、聞きたいことがあったら何でも聞いてくれと望まれぬ優しさも付け加えた。
しかし、30年前は斯く斯くしかじか、そんな時代で商売を始めたらバブルがはじけてねぇ~、なんて記憶にも浸り出した頃から話の内容が怪しくなって来た。
面白いから、少し放置して様子を見ていると大学生君が「へ~そうなんですか(=ほんまかいな)」と興味が無さそうに相槌を打ち出した。
語るオヤジの方は、温まったエンジンが切れないのかアクセルをブンブン吹かして話を続け、周りを退屈の二文字で包み込みとうとう収拾の付かない雰囲気へと誘ってしまったのであった。
業を煮やしたのか、壁際の一人がトイレと小声で立ち上がり、スーッと歩き出した。
話者のオヤジは、ここからが俺の武勇伝の最高の場面なのに話の腰を折りやがってとトイレオヤジの背中を刺さんばかりに睨んで見送り、話を続けようと向き直った。
残りの数人は、話が盛大にモリモリになっている事を感じ取り、誰が止めるんだと目配せすら始まっている。
ところで、野上さんって英語話せるんですか?
大学生君が絶妙に割って入って、私に聞いてくれた。
(Good job だ!)
きっと、自己紹介の折に、仕事柄よく海外出張に行くが今年はコロナで全く行けていないと言う話をしたからの質問だろう。
そうだねえ、まずまず困らない程度には話せるよと答えると、そこからは話題が英語やスキルについてに切り替わった。
彼は、英語が話せる事がとても羨ましいとの事だった。
確かに、大学生になったばかりの18才、高校生の時には学校で習う英語の勉強(特に英会話)以上の事をすることが無かったはずだ。
しかし、大学生活が進むにつれて英語の必要性を感じ、また英語(他言語)の話せる自分に憧れを抱いている様子でもあった。
しかし、彼の会話には、若者だなあと思わせる単語がひょこひょこ飛び出してくる。
スマホやアプリの話から、暗号通貨、クラウドファンディング、ブロックチェーン、副業投資、youtuber、SNS、等々、聞いているオヤジ達は半分ほども分からないのだろうが、それでもそれが嬉しそうでもあった。
それが証拠に、オヤジ達は分かった振りをしては汗を掻き、意味を探る表情には赤みすら差しているのだ。
その中で、前出の自慢オヤジなんかは、自分の知らない単語で質問を振られると、少し間を取りながら質問自体が無かったかのように自分の話へ戻したがって困ったものだった。
いやいや、自分も気を付けなければ、明日は我が身と皆が自慢オヤジを見ていたはずだ。
大学生君の話が一段落して、考えさせられた。
私が英会話の勉強を始めたのは、四半世紀以上前の遠い昔の話だ。
今や自動翻訳の能力は上がるばかりで実践使用が可能なレベルに進化している。
あと少しもすれば語学が出来る事のアドバンテージはほぼ無くなるんじゃないかと思えるレベルなのだ。
英語の勉強を始めた頃、今しっかりと英語を身に付けて置けば自分の時代は何とか食っていけるんじゃないかと考えていたのを思い出す。
実際、何とかやって来れたし、あと少しで逃げ切れるとも思っている。
しかし、現代の大学生達は未だ英語の出来る事(人)に憧れを持っているようだ。
彼が文系だからだろうか。
翻訳、通訳がマシンに任せられるようになっても、やはり人対人のコミュニケーションは己が口で話さなければ満足度が低いのかもしれない。
また、翻訳機を使わずに話せることがナウイという事なのだろうか。
このままいけば、きっと私はその答えを爺になった頃にこの目で見る事になるだろう。
故に、その時に大学生達にこんな事を言って翻訳機のボタンを押したいと考えてもいるのである。
Don’t worry! You don’t need any language skill. It is a very small thing.
グーグル翻訳すると、
「心配しないでください!あなたは言語スキルを必要としません。とても小さなことです。」
こんなん出ましたけど!
18才の大学生にこの落ちは通じるんだろうか。
翻訳機、Please!
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