(2) タイ、バンコク、トゥクトゥク物語【ワイと初めてのマッサージ】

それが、ワイと呼ばれる挨拶の仕草だというのを知ったのは、しばらく経ってからだった。

仏教徒が大半のタイでは、目上の者に対しては勿論のこと、男女の区別なく、プライベート、ビジネスシーンと、このワイ(合掌)で挨拶をするのが礼儀となっている。

タイという国に魅了される多くの方々は、やはりこのワイに親近感や安心感を覚える為と私は考えている。

それほどに、魅力的感じる挨拶なのだ。

★★★

さて、運転手のKenが声を掛けてくれたせいかどうかは知らないが、お店の人がとても親切に対応してくれる。

玄関を入るとすぐにスリッパが出て来て履き替えさせてくれた。

そして、ゆったりとしたソファーへ案内してもらって腰を下ろす。

しばらく待っていると、ガラスのティーカップに注がれた紅茶色の飲み物を、どうぞフリーですと一言添えて置いてくれた。

なんだろう。

カップを持ち上げて、スーと匂いを嗅いでみた。

わー、何だこれ。新しい匂いだった。

少し甘めの香りが胸の中にふわ~と溶けて行った。

飲みやすいようにだろうか温度が人肌程度に冷ましてあり気が利いている。

きっと、暑い国だからだろうなと勝手に想像を巡らせてみた。

味の方も柔らかく、匂い同様に甘い紅茶の様だった。

この新しい飲み物を味わっていると、今度はシックだが高級感のあるタイシルクのワンピースに身を包んだが若い女性が近寄ってきた。

ティーカップをテーブルに戻して彼女を見上げると、髪を後ろでアップに纏め上げたこれまた美人で見とれてしまった。

この娘も軽くワイをして、メニューらしきものを広げて手渡してくれた。

なんだろう。飯でも注文するシステムなんだろうか。

Kenのやつ、マッサージと言っていたのにいきなり騙しやがったのか、、

と思ったら、表紙に英語で”Massage Menue”と書いてあった。

そら、そうか。

マッサージ屋に来て飯は食わんやろと、一人納得顔で首を上下左右に何度か振ってメニューを見ている様にごまかした。

*ちなみにだが、実はタイのマッサージ屋やサウナ店では、普通にご飯の注文できる店が結構あって地元のタイ人は良く食べている。そんな事も後々どんどん分かって行ったのだ。(特殊なマッサージ屋だったら大概は立派な料理が注文できるようになっていた。)

手渡されたメニューの方は、タイ語と英語の表記になっていたから、地元民と観光客の両方が来る店なのだろう。

なるほど。それは、チョットいい感じじゃないか。

マッサージの本場、タイの地元の人が利用しているならきっと上質店に違いない。

どれどれ、んーと、、

フット(足)マッサージにタイ古式マッサージ、肩押し、ツボ押し、温マッサージ、なるほど。

それから、えーと、、あッ、これか、オイルマッサージにボディーマッサージ、、

○○シ○○マッサージなんてのもあった。

いろいろあるんやねー。

おっと、君はずっとそこで待ってくれているのね。

そうなのだ。私がこのドリンクを飲んでメニューを楽しんでいる間、先程の娘が横で待ってくれているのだ。

気の弱い人なら、その視線に落ち着かなくなる雰囲気かもしれない。

だが、私は全く大丈夫な性格をしている。ラッキーだ。

どちらかと言えば、ずっと見ていてもらいたいくらいだ。

だってそうだろう。

こんな、超笑顔がキュートな女性に見つめられることなど盆と正月にだってそうそう遭遇しない。

一通りメニューを確認して大体の値段も分かった。

1時間、500円ぐらい~で、1000円、1500円ぐらいのものもあった。

まあ、今日は初日。それにKenを外で待たせているから1時間としておこうか。

種類は、タイ古式マッサージをしてもらうことにした。

メニューの中の「Thai Traditional Massage」を指さして、これを1時間でと頼んだ。

すると、ずっと待っていてくれた彼女が、OKカーと言って丁寧にワイをして下がって行った。(カーは女性の丁寧語)

暫くすると、パジャマの様な着替え(上下セパレート)を渡されて、ジェスチャーでこれに着替えてくださいとの指示が来た。

何処で着替えるのかなとキョロキョロしていると、一人の年配女性がこちらへと手招きして奥へ連れて行ってくれた。

細くて白い廊下を進むと、左右に6つずつ扉が設えてあって、少し如何わしい雰囲気も漂わせている。

ほーぅ、個室なのか。

ドアを開けて、こちらですと案内された部屋は、想像通り個室でかなり狭かった。

横幅が120~130センチぐらいで、縦が220センチほど、セミダブルのベッドくらいの大きさだった。

床には真白なシーツの掛かったマットレスがあり、その上に大きめの枕がぽつんと一つ置いてあった。

係の女性は、ドアを開けて、中へ入れとまたジェスチャー。

ハンガーを一つ渡されて、この中で着替えて脱いだ服は壁のフックに掛け下さいと、完璧に理解できる素晴らしいパントマイムを披露してくれたのだった。

言われた通り、ズボンと靴下を脱いで上のポロシャツも脱いだ。

パンツ一丁姿で、借りたダボダボの施術着を身に付け時、コンコン。

ノックと同時に、小柄な女性がドアを開けた。

小さくワイをした女性は、一段高くなっている施術室に入って正座して再びワイをして小さな声でサワディーカー(こんにちは)と挨拶してくれた。

正直、ドキンッと驚いた。

部屋に入って来たのは、小麦色の小柄な女性で、やはり髪をアップに纏め上げ耳のところには紫色のオーキッドの花を挿していたのだ。

まあ10人並み以上の美人であることは間違いない。ド、ストライク。

入店前、Kenにマッサージの上手いやつを頼むと言っていたから、普通に年配の女性を想像していたのだ。

もちろん、Kenの言った若い女の子を頼みましたからの言葉に多少の期待はしていたが、、

いや-、これほどとは、、

そんな彼女に少し見とれていると、まずは、仰向けになってくださいと指示がありその通りにした。

すると、今度は、私のお腹と下半身の大事な部分を覆うようにタオルケットを掛けてくれた。

おう、これはありがたい。

タイは南国、熱帯の国で、とにかく暑い。

故に、お店の中はエアコンがガンガンに効かせてあったのだ。

先程、パンツ一丁で着替えた時、裸に触れる施術着の中で乳首が少し硬くなっていたほどだ。それも両方。

これは、緊張のせいなどではなかった。ただ冷えて寒かったのだ。

タイのマッサージは、足の方から始まるようだった。

足裏のツボを少し押す。右、そして、左。

足首から脛(すね)、太ももを順にほぐすように揉み上がり、ももの上部で一旦止まって、下がっていく。

これを何度か繰り返し、今度は、足首を掴んで取って引っ張り、自分の足で力点を作り、グイグイともも裏なんかを強めにほぐしてくれる。

おぉー、気持いい。思わず声が漏れる。

それにしても、小さな体つきなのに力が強い。

一連の動きにプロの流れすら感じる。

腕の方も十分すぎる程の合格点だ。

しかし、このマッサージ、かなり小さな個室で施術しているせいか、体と体が微妙な感じで触れ合い続けるのだ。

時折、これは普通のマッサージなんだろうかとの考えがよぎる。

首をもたげて、施術中の彼女の手元を見て、気持いいですと言うと、ニコッと笑顔を作ってくれる。

おー、これは、、

いやいや、ちょっと待て。

タイに到着して、まだ数時間しか経っていない筈だ。

焦りすぎだろう、どうかしている。少し落ち着くんだ。目を閉じた。

だが、止まらなかった。

聞くだけなら大丈夫、少し探りを入れるダケだから大丈夫、と自分に言い聞かせて思い切って声を掛けてみた。

なあなあ、今晩、暇? デートせえへんか?

あかん、炎の直球ストレートを投げてしまった。

フフフ、ギュッギュッ、、

なんや、強めに押して来て、OKなんか、その合図、、

なあ、どうなん、食事でも。

フフフッ、

なんや思わせぶりやなー。

えッ、なになに、起き上がれって、なになに、何をしようと、、

店によって多少の違いはあるが、タイ古式マッサージの最後の仕上げは頭部マッサージ(こめかみ辺り)をしてくれることが多い。

女性が胡坐(あぐら)をかいて座り、組んだ足に枕を乗せて、その枕の上に頭を持って来いと言うのだ。

向きは仰向けで、膝枕の上向きバージョンという感じで施術してくれるのだ。

タイマッサージは、今回が初めての私。

正直、この施術スタイルには、参った。

というより、もうすでに恋人同士みたいな距離感じゃないか。

膝の上で目を開ければ彼女の顔が見えるし、吐息もかかる。

流石に、手を上に回してお尻を触るようなオイタは慎んだが、彼女が本物の恋人なら間違いなくやってしまいそうな密着施術。

こんなスタイルが含まれているとは正直驚いた。

だが、同時にふと思った事がある。

一連の流れがこのマッサージの基本であるならば、施術師が誰であれ最後はこの密着プレーに流れ込む分けか、、

例え、そのお方が100キロを超えるような技巧派レディーであったとしてもだ。

残念だが、その時は目を静かに閉じて瞑想を続けるしかないと思った。

もちろん、手を上に回したところでお尻までは届かないだろう。

そんな事を考えていると、肩をトントンと叩かれ再度起き上がれという合図だった。

あーなるほど、そろそろ時間が来たようだ。

それにしても、楽しい時間というものは、あッという間に過ぎてしまう。

オーキッドの花の紫と笑顔が忘れられない、タイ古式マッサージの初体験であった。

つづく、、

★★★

【おまけ】

結局、誘い出せるのかどうかも分からないままお勘定となってしまった。

チップを含めて400バーツ(1200円)ほどの料金を払って表に出ると、既にトゥクトゥクを玄関に回したkenが待っていた。

どうでした、ボス。

女の子、可愛かったでしょう。

ああ、まあまあだったなと、少しごまかして置いた。

それより、腹が減ったよ。次はレストランに行ってくれ。

了解しました。

では、美味しいシーフードレストランに行きましょうか?

いやちょっと、待ってくれ。

それより、Kenが普段行っているレストランに連れて行ってくれ。

奢るから、一緒に食べようぜ。

えッ、一緒にですか。もちろんOKです。

では、行きましょう。ブ~ン

★★★

【おまけ2】

どうしても、さっきのフフフが気になって仕方なかった。

ここは、さっそく反省会を開いて、Kenにいろいろと聞いてみようとの作戦だったのだ。

★★★

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