(10) タイ、バンコク、トゥクトゥク物語【いざ、プーケットへ】

バンコクからプーケットへは1時間30分のフライト時間だった。

搭乗して、窓側の席に座って離陸するまでの間、ノンちゃんからのメッセージを2度見直した。

– Wait for you.

目を瞑って、たかが飲み屋の女の子の営業メッセージじゃないかと言い聞かせたがダメだった。

幸いにも睡眠不足だったから、いろいろ考えている間に眠ってしまった様だった。

プーン!

シートベルト着用の音で目が覚めた。

窓の外を見ると、眼下にはプーケットの青い海がキラキラと陽の光を浴びて綺麗に広がっていたのだった。

★★★

到着したプーケットの空港は、世界各国からの旅行者で賑やかに混雑していたのを覚えている。

其処彼処(そこかしこ)でこれから始まる旅に興奮するかのように大きな声が飛び交っていた。

回転テーブルの前も凄い込みようで、うかうかしていると流れてきた荷物を取り逃すほどであった。

何とか、すみません、Excuse meと人混みをかき分けて自分の荷物を取り上げて、コロコロ押しながら外に出た。

うわー、やっぱり暑い。

海の近くに来たと言っても、そこは熱帯の国タイであった。

出口の外で、キョロキョロと少し様子を伺うと、もの凄い勢いで熱視線を送って来るやつらがいる。

こちらが男の一人旅だと分かれば容赦はない。

Hey、ミスター、こっちこっち、ミスター、タクシーでしょう。

やはりな。

送りますよ、どこのホテルですか?

今回の旅は出たとこ勝負。ガイドブックの様な無粋なものは持っていなかった。

全ては、到着後に仕入れる情報のみ。

頼れるのは、己のが才覚のみ。

緊張するが、それこそが一人旅の醍醐味なのだ。

少し観察していると、荷台に飛び乗るバスのような乗り物があった。ほー。

普通のタクシーもいる。にゃるほど。

マイクロバスには、外人さんが数名乗り込んでいるところも見えた。

きっと、どこかにチケット売り場がある筈、なんだが、、

ミスター、何処へ行きますか。タウンですか、ビーチですか。

相変わらず、粘り腰な奴だ。

明らかに、バンコクで知り合った運転手のkenとは質が違うようだった。

どうする。バスにするか、コヤツのトゥクトゥクに乗るか。

チックタック、チックタック、、

分かった。君の車に乗せてもらおうじゃないか。

とりあえず、ホテルはパトンビーチにあるからそっちの方へ向かってくれ。

了解しました。ミスター。

とりあえず、ホテルまでは300バーツで結構です。

そうか。

特段時間を掛けずに空港を脱出する事には成功したようだった。

他の旅人もみなそれぞれの移動手段でそれぞれの目的地へ向かう。

だが、走り出した道は狭くどの車も連なって走り出したのだった。

なんだー、これならどの移動手段でもあまり変わらなかったなと笑みがこぼれた。

まあ、良い。

空港からパトンビーチへは、急勾配の山坂道を結構走りホテルまで小一時間ほど掛かったと記憶にある。

それでも、眼前に海が見え潮風を感じた時は、おおーッと声が出てここがプーケットかと感動した。

移動手段にトゥクトゥクやタクシーを選ぶ最大の利点は、情報収集が出来る点にある。

もちろん、バスの運転手からも聞き出せるだろあうが、流石に根掘り葉掘り聞くことは憚られる。

とりあえず、ここはこのトゥクトゥク運転手から情報を聞き出しておこう。

Hello, driver.

ワッチュワネーム?

運転手に名前を聞くと、トゥーと答えた。

そうか、トゥーさんか。

どうなの、最近の調子の方は、、

異国の街でタクシーに乗った時に必ず聞くそれを尋ねてみた。

まあまあですよ。ミスター。

観光客は毎日いっぱい来てくれますからね。

声のトーンからして、調子は良さそうだった。

ミスターは、何日ぐらいの予定なんですか?

1週間だ。

へー、日本人にしては長めですね。

普通の日本人は、2泊3日、3泊4日とかの人が多いですから。

確かに、日本の旅行社ではそんなパンフレットもよく見かける。

ミスター、どうぞ、これを見てください。

運転手のトゥーがラミネートされたパンフを渡して来た。

ハハ、同じだ。

バンコクでKenが見せてくれたやつとそっくりだった。

マッサージ、レディーボーイのショー、クラブ、ディスコ、カラオケ、GOGOBAR、象の背に乗る、マーケット、高級シーフード、パラセーリング、シュノーケリング、ダイビング、、

流石に、プーケットならではのアクティビティーも入っていた。

どれか、お好きなものがあれば言ってください。すぐに手配しますよ。

なるほど。ここでは、トゥクトゥクが簡易的な予約エージェントを兼ねている様だった。

だが、今回のホテルは海の直ぐ近くと聞いていたから、到着後に少し散策するつもりだったのだ。

なので、トゥーには申し分けないが、とりあえずホテルまでで良いと告げて他は断っておいた。

★★

ホテルに到着して荷物を下ろして料金を払うと、トゥーが残念そうに話しかけてくる。

どうです、今から、、

いろんなところへ案内出来ますよ。

これなんかどうですかねーと見せてくれたのは、なかなかに魅力的なピンク系の写真たちだった。

ほー、これは凄い。どうしたものか。

腕時計を見ると、時刻は16時過ぎだった。

今日は初日だからビーチ沿いのレストランでシーフードを食べると、一応は決めていたのに心が揺れる。

いかん、いかん。まだチェックインすら済ませていないじゃないかと我を取り戻した。

それに、この後ダイビングショップに行って予約の確認をする必要もあったのだった。

粘るトゥーにもその旨を説明して何とか諦めてもらった。

★★★

ホテルは、日本のビジネスホテルぐらいの大きさだったが、事前の情報通り少し歩けば海へ行ける場所にあった。

チェックインをササッと済ませて部屋に行き、スーツケースを開けてお気に入りのアロハシャツを取り出した。

サングラスを胸のポケットに差し込んでビーサンに履き替え軽快に1階のロビーへ降りて行った。

このホテル、ドアを担当していたのは若い女の子のベルガールだった。

ねーねー、ちょっと、いいかなあ。

はい。何かお手伝いしましょうか。

この、ダイビングショップに行きたいんだけど、分かるかい?

部屋に置いてあったシティーマップを広げて場所を教えてもらうことにした。

イエース(タイ人はYesを長めに発音します。)。

このショップなら、この前の坂道を降りてビーチの手前の道を左に曲がってください。

直ぐに大きなショップの看板が見えますから簡単に分かりますよと教えてくれた。

オーケー。ワイをして、コップンカップと言うと、ベルガールさんは笑顔になってマイペンライカー(どういたしまして)と玄関ドアを開けてくれた。

足早に坂道を下る私の背中に、Have a good evening! とベルガールが掛けてくれた声に、ちょっと振り返って手を上げて礼を言っておいた。

つづく、、

★★★

【おまけ】

ここかあ、ダイビングショップは直ぐに見つかった。

Hello、と声を掛けて店に入った。

店員の若い男の子に明日のダイビングを予約している者なんだけどと伝えると、あ、ハイ!と気持ちよく返事して椅子を勧めくれた。

その若い男の子が、私の来店を奥に告げると30才ぐらいの男性が出て来て、明日のダイビングの担当でボックスと言いますと自己紹介してくれた。

明日の集合時間と場所、ランチが付いている事などの説明とダイビングスポットの話をしてくれた。

加えて、私のダイビング経験を聞いてからバディーについても教えてくれた。

明日の客は全員で12名とのことであった。

メンバーのリストを見ると、

ロシア人が2名

ドイツ人が2名

ヨーロッパ人が2名

タイ人が3名

日本人は、私の他に2名の男性という事であった。

知らない方の為に補足しておくと、スキューバダイビングは必ず2名がペア(バディーと言う)になって潜ることになっている。

このバディー、ダイビング開始前に機材やボンベの空気残量を確認し合い、水中でも何かあれば助け合う間柄となっておりとても大切な相手役となる。

一人客は私のみだった。

奇数になって余りが出るのはタイ人の3人組だったから、この中の一人とバディーになってくださいとの説明だった。

ちなみに、バディーを組むときはダイビングの経験値などを考慮してバランスを取るのが正しいが、リゾート地でのダイビングはカップルでの申し込みも多く、それをバラバラのすることはまずもってなかった。

メンバーリストの情報を見ながらボックスは続けた。

私とバディーを組むことになったタイ人は、まだまだ初心者で今回が3回目のダイバーさんですという情報を教えてくれた。

ちなみに、今回の12人の中では私が一番の経験者であると言う事であった。

ボックスは、女の子のバディーですが、どうぞよろしくお願いしますと笑顔を作ってよこした。

初心者とのバディーも慣れているから大丈夫だよと返事をしたが、内心、タイ人の女の子で初心者バディーって最高じゃないかと、ニヤケ顔を悟られぬように席を立ったのだった。

オーケー。じゃ、明日はよろしくと、お互いに握手して店を後にしたのだった。

★★★

【おまけ2】

オーケー。明日のダイビングもなんだか楽しくなりそうだぞ。

ちょっと、誰かタイ語教えてくれないかな、なんて考えながら宵闇迫るプーケットのビーチ街へ足を向けるのだった。

★★★


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