力シリーズ、切返力
切返力(きりかえしりょく)
大枠では、返答力とも呼べるこのスキル、個体のセンスがよく現れるスキルでもある。
ここ最近、うちの爺様の返答が怪しくなって来た。
己でも気付いていると見受けられ、物忘れ、やり残し、脱ぎ捨て、放棄行動らに対して、
ごまかしてくる。
様々、奇怪な行動を指摘すると、
決まって、
あッ、あれは違うねん、、
と、間を取り、
そして、抜群の切返しを差してくる。
先程まで、怪しい行動をとっていた御仁とは、とても思えない素早さだ。
一例がこちらだ。
先日、薬の仕分けをチェックすると、6個のはずが8個であったり、7個が12個だったりと間違いが多くなって来た上に、飲み忘れも増えて来た。
多分、単一、単純、継続作業が苦手になって来たようだ。
やんわりと、それらのミスを指摘すると、こんな切返しがあった。
大丈夫、こっちの袋にバラがあって調節してるから、、
はッ、?
バラって何です。
7日分x8週間、56日分と数はきっちりのはずですが。
話しを聞くと、上手く仕分けられなかったハグレ薬と飲み忘れ薬が、バラ薬としてまとめられ、調節しているとの事、
まあ、何とも器用な管理方法があるものだ。
まあ、齢を重ねるとはそういう事なのだろう。
楽観的な私は、笑って対応する事にしている。
笑うにも理由があって、爺様を見ていると、まあ同じ細胞、私もいずれああ成ると考えると、何故かにこやかになれるのだ。
さて、そんな爺様の切返しを聞いて、思い出した事がある。
その昔、私がまだ、大爺様の膝の上を定宿にしていた頃の記憶だ。
ある昼下がり、大婆様と二人きりで留守番をしていると、
ピンポーンッ、
誰か来た。
大婆様が玄関で出迎えたのは、脂の効いた中年営業マンだった。
この当時は、飛び込み営業が日常的にあった時代で、布団、調理器具、保険、百科事典なんかも良く売りに来ていた。
幼少期だった為か、何の営業だったか記憶に無いが、
大婆様の切返しだけは、鮮明に覚えている。
話しを一通り聞き終えた大婆様は、こう言った。
耳が悪くて、ちっとも聞こえません。もう一回、言うておくれやす、、
営業マンは、確実にビビッた筈だ。
今、話した5分間程の説明が、全く無駄だったと告げられた上に、
もう一度言ってくれだぁ〜、
どの道、やっぱり聞こえない、
と言われる可能性に震えたに違いない。
眼前の老婆は、完全に両目を閉じて、首を少し左右に動かしている。
もはや、物を買ってくれる気配は、微塵も感じ取れない。
営業マンも、敗北を認めたのだろう、
ろくな二の句も継げないままに、また来ます〜、と出て行った。
座敷に戻った大婆様に聞いてみた。
ほんまに聞こえへんかったん?
そやなー、全然聞こえへんなーと、
即答って、
聞こえてるやん!
↓南無阿弥陀仏
おまけ
質問をよ〜く聞かないポーズ
この方を見た時も、今日の大婆様の話しを思い出したが、この右手、耳の前に有りますなあ。
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