力シリーズ、負の能力
一般に能力と言えば、他人よりも優れた「何かができる」を意味することが多いだろう。
学生時代は、その能力が己が体内に「有るのか、無いのか」を、学びを通して見極めていくことになる。
私の場合、子供の頃とても足が遅く、次の組みのゴールテープをビリッけつで切ったことのある筋金入りの鈍足だった。
そして、その能力はトレーニングや成長過程の突然変異でも開発されることなく現在に至っている。
要は、およそ65kg=当時(今は80kg)の体躯を前に進めるという単純作業のどこかに不備があり、能力と言うものに仕上げることが出来なかった結果で、鈍足のままだ。
同じく、絵を描くという能力にも、著しい欠如が見られる。
その昔、齢7つの頃だったか、母にアヒルの絵を見せたところ上手に亀が書けたねと褒められて泣いた記憶がある。
その様子を傍らで見ていた兄にも笑われたことから、絵を描くことへの興味が恐怖に代わり、脳みそが一切の絵心を閉じてしまった。ゆえに、今もって人の顔は、「まる書いて、チョン」みたいなものしか描けない。
大人として本当に恥ずかしい状態が続いている。
現役の母親諸氏よ、どうかご注意願いたい。子供は繊細(sensitiveでdelicate)なのだ。
思えば、音楽というジャンルに関してもろくな記憶が無い。
幼稚園では、カスタネットが出来ずにシンバルで一度だけ叩くを見事に外し、
小学校では、木琴が出来ずにコーラスに回って口(くち)パクと命令された。
仕上げの中学でも能力の開発は進まず、全ての楽器を取り上げられて指揮者となった。
が、全ての演奏が終わった後に指揮棒をまだ振っていたのがこの私だ。
おかげで、今はカラオケが大嫌いで、営業マンとしてかなりのハンデを背負わされている。
半面、文字に関しては、努力のあったせいか、まずまず問題が無いレベルには成長できているのが唯一の救いだ。
さて、そんな能力、一般にはプラスに働く何か得意な能力をイメージすることが多いが、
中には、本人が不必要としているのに身に付いてしまった、「負の能力」がある事にも言及してみたい。
その不必要な能力にあえて名前を付けるとするならば、「忘却力」とでも名付けようか、
人の顔が覚えられない、いや違う、忘れてしまうという能力なのだ。
その女性にお会いしたのは、海外のイベント会場のブースだった。
挨拶は、「初めまして、いつもお世話になっております。」
お互いの会社同士に付き合いがあり、ご本人とは初対面なのでこの挨拶で問題は無かったはずだ。
ただし、お相手の女性からは、一度以前にお会いしていますよね、とのご返答であった。
声の感じから、そんなに親しく話した間柄で無いことは分かった。
聞けば、1年ほど前に私がその女性の会社を訪問したことがあり、複数人で名刺交換をしたとのことであった。
双方4人ずつくらいで、回るように入れ代わり立ち代わり名刺交換したとのこと。
そりゃ無理だ。思い出せなくても仕方のないところだろう。
その女性も、あの時は名刺交換だけでしたからと許してくれたようだった。
とりあえず非礼を詫びて、挨拶は終了した。
しかし、私の忘却力の凄いところは、翌年のイベント会場でのことだ。
初めまして、○○と申します。いつもお世話なっておりますと、
去年以上に余所余所しい挨拶をブチかましたのである。
ハァ、あなた、正気なの。
先方も呆気にとられたに違いない。
去年も、同じ場所、同じイベントで、あれほど散々に2度目ですよねと言う話をしたじゃない、、
阿呆なのか、、
たぶん、こんな気持だったはずである。
イベントは、2日間開催だったから、これまで都合3日間会っていることになる。
そして、今回の爆弾発言である。
誠に失礼ながら、帰国後に先方の別の担当者からその話を聞かされた当方の同僚からの指摘でようやくその失敗に気が付くというヤバイ能力なのだ。
2日間のイベントが終了して、帰国の途に就くときも、素知らぬ顔でお疲れ様でしたと声を掛けたそうだ。
痛い。
本当に身に付けてはならない能力の一つだ。
ま、おかげで、今では忘れようのない人になったから、災い転じて福となすと都合よく言い訳している私であったが、
翌々年のイベントでは、先方の方から、覚えていらっしゃいますかと声を掛けられ冷や汗をかいたのを思い出す。
会った人の事をこうも簡単に忘れてしまうこのような能力が、どうして身に付いてしまったのか、トンと記憶にないのがこの能力の持ち主の凄いところでもある。
読者諸氏には、是非ともご注意願いたい。
あ、ひょっとすと、遅刻力、地獄耳力なんかも、同じ負の能力の仲間なのかもしれませんよ。
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