衝撃事件簿、衣替え

陰暦では4月1日と10月1日。

江戸幕府には、5月5日と9月9日に衣替えの定めがあったと記録にある。

諸氏にも、さまざま奥の深い思い出があるのではないだろうか。

私の知る限り、現代社会では6月1日と10月1日をその日とする習慣があるはずだ。

2005年に始まった「クールビズ」もまだまだ記憶に新しいところだ。

我が愛しき読者諸氏の中には、もう一昔前の「省エネルック」の方を思い出される方もおられるかもしれない。

こちらだ、☟☟☟

若人諸氏よ、昔はこんな半袖スーツを真剣に流行らそうとしていたのだ。

ま、まんざら無理な話でもないのだが、

その証拠は、こちらの写真で検証していただきたい。

さて、私の記憶となると、これまた時代を随分遡ることになる。

あれは確か、今日と同じ6月1日の出来事であった。

五月の終わり、既に夏の到来を学生服の中に感じ、首筋から立ち登る若き臭気、ウップに衣替えを待ち望んだ記憶がある。

あー、今日から上着がいらないのか、朝、鏡の中の出掛け姿をラクチンっと確認して、行ってきま~す。

心なしか、足取りと気分が軽く、通常は、右・左・右・左と歩くところを、右、右、左、左と歩いてみたりしたくなるほどだった。

もちろん、理由は明快で、M子ちゃんも薄着になる日だからだ。

そのクラスは担任の意向か、格子柄のように男子生徒と女子生徒が交互に着席するスタイルをとっていた。

M子の「前・後・左・右」の4席はゴールデンチケットとされ、私は幸運にも右側の一枚をゲットしており、朝から神妙に着座し時を待っていた。

奥手の学生なら精神的不安定は起こさない6月1日という、この日。

早熟男子には、浮足立つヤツらが目立つ。

そんな中、私は並熟な方だったが内面に人知れない早熟性を兼ね備えている人物だった。

立ち振る舞いに関しては極めて落ち着きを装っていたが、ある意味独立系であった。

少し付け加えると、クラスの半分は女生徒なわけだから、1女生徒に対して4枚のチケットが存在することになる。

飛車、角、金銀の周りは人気が高く、玉(ぎょく)すなわちM子ちゃん(=推定90)の周りはプラチナ級チケットな分けだった。

皆、衣替えを終えた女子を何とか眼球の裏側に焼き付けようと、創意工夫を凝らして技を繰り出してくるのだ。

健全な、中高生ならごく普通だろう。

ちなみに、ご婦人達の方はいかがなのだろうか。

衣替えの季節、一冬越して春に温めた男子生徒の逞しく育った二の腕や、薄っすらと見える胸板に心ときめかせるということは無かったのであろうか。

一度、その目をそっと閉じて思い出して見てはいかがだろうか。

お、M子の登場だッ。

時計は、8時25分、ホームルームの開始時刻を指し示し、チャイムも鳴った。

普段は騒(ざわ)めき立つ朝のクラスの風景。しかし、今日は、若干やんちゃ組の着席が早く落ち着いている。

4枚のゴールデンチケットを手に入れた4人組。膝はほぼ真っすぐに、肘は机の上で、頭はやや内向きで、全体には真っスグ前を向いている感を醸しながら、左右からは横目で、ろからはM子の背中に穴が開くほど睨みつけ、では気配を全身で感じ取っている。

ここで、少し解説を加えたほうが良いだろう。

この、ゴールデンチケット、価値と用法がそれぞれに異なるのだ。

(私は、スーパーゴールデンチケットと呼んでいる)は、授業中ずっとM子を視界にとらえる事が出来るのだ。ただ、体力が無いと続かない。

姿勢は、不自然なく前を見て緊張感を保ち、それでいて目は、右側のヤツなら左へ、左側のヤツは右へ視線を連続的に送らなければならないからだ。

は、一般学生の間で人気がある。当然、45分、10分休憩、45分のインターバルサイクルで、苦も無くM子を全画面で視界に捉えることができるのだから堪らないだろう。

だが、マニアなヤツは学生時代からその片鱗を発揮し、ろなんて邪道、価値半減と非常に厳しく値踏みしてくるのだ。

ちなみに、そんなマニアな彼らが好むのが、

だ。

なぜなら、ゴールデンチケットの中で唯一その利用に技が必要だからだ。

この席、M子との距離は申し分ない上に、吐息、香りを直接受けられるという特典付きチケットなのだ。が、如何せん最大の弱点は、己が前を向いているという、視覚的絶対量の不足に尽きる。

従って、前方着座のこの御仁達は、何とか振り向くチャンスを窺わなければならないことになる。

鉛筆や消しゴムを落とすような小技ではダメだ。既に、それらの技は見切られている。

だから、なかなかチャンスが巡ってこないのだ。あるとすれば、教師がプリントの配布をしてくれるその時を待つしかないのだ。

ここぞとばかりに、腰に全神経を集中させて、ギュインと180度を超えさせて堂々と振り返り、体を戻すまでの間、目をなるべくM子のそれに釘付けにする、まばたき凍結の術をくり出すのだ。

前席、それは技の持ち主にのみ与えられた、爆発力を秘めた栄誉あるポジションチケットなのだ。

長い描写になってきたが、今しばらくお付き合いいただこう。

今回の私、何を隠そうゴールデンチケットに、おまけが一つ付いているのだ。

私の席は、廊下側で右側には誰もいないという幸運。必然的に、己が体をM子側へ少し差し込むのが当然の型だ。

フフ、これがチャンスと言わずに何と表現できようか。

仮に、M子が窓側、廊下側の席に座っているとしたらどうだろうか。

4枚の内の一枚が存在しなくなってしまうだけでなく、体をM子側に向ける必然性がゼロになってしまうのだ。そんな恐ろしい不幸があるだろうか。

6月1日、男子生徒は45分のインターバル毎に疲れて行く。

そして、3度目のインターバルの途中、私の集中力はMAXゾーン!に達し、

ボン、という音と共に鼻の粘膜が破れ、一気に熱き青春の血潮が噴き出したのだ。

科目に記憶はない。まだ6月の新しさの残る教科書の上に、顔を抑えた手の指の間から、ポタリ、ポタリと血が落ちた。

何十年も前の記憶を頼りに、本日6月1日のこの投稿を、

「衣替えの考察」としておこう。

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