不可思議事件簿、落とし物、最終報

前回までは国内、海外のATM系お宝発見ものの報告だった。
少し枝葉の話しを盛り込み過ぎた感は否めないが、読者諸氏にとっては、既に慣れっこだから問題無いだろう。
今回は、
その3、タクシー、タイ
をお届けして見たい。
この体験、時は前々回報告のATMタイと同じ頃と記憶にある。
その日は、出張の中日で土曜日だった。通常、仕事は平日にこなし、土日遊んで帰国がゴールデンパターンだったが、この時は、週を跨いで仕事があり、土日が自由と言う変則パターンの出張だった。
このパターン、海外出張に慣れていないと力加減が分からず、羽目を外し過ぎて週明けグダグダになるやつ、羽目を外し切れずにグダグダ言うやつに分かれるから面白い。
しかし、ベテラン組みは流石に抜かりがない。朝の早よからゴルフに出掛け、昼過ぎには、ビールで乾杯、続いてサウナにマッサージ、、、夜は夜で、、
皆、凄い計画力と協調力だ。加えて一糸乱れぬチームークを見せてくれる。
普段、職場では一切見せて頂いけ無いスキルばかりだから驚かされる。
私は、暑い国でのゴルフはあまり好きじゃない。ベテラン組みのお誘いを丁寧に断り、単独お寺へ赴くのが一般的だ。
線香の匂いが大好きで、嗅げば心安らぎ股間は小さくキュンとする。
大体は、午前中にお寺で心と体を清めた後、ダラリと時間を潰すのがわたし流。
とにかくローカル屋台のタイ料理屋が好きで、少しずつ食べ歩くのが定番コース。
行きつけのタイ古式マッサージ店へも良く通っていたが、この時はまだ、ナタリー(9月に報告した美女)の施術を受けるずっと前の話しだ。
そうこうしていると、身体もほぐれ、大体夕刻になり夜の帳が下り始める。
タイではこの時刻、街の装いが夜モードに変化して行く様が垣間見られる。
幹線道路や目抜き通り、商売が出来そうな場所に飯屋に飲み屋、スタンドバーなんかの屋台が立ち並び出す。
要は、街全体で昼モードと夜モードを入れ替える仕組みだ。ある意味、このシステムは最先端なのかも知れない。
日本でも最近、間借りレストランみたいに、一つ場所(お店)を複数人で使うシェアリングビジネス(エコノミー)が盛り上がって来ている。
さて、そんな非日常の中の日常(昼モード)をダラリ満喫して、夜の街角調査に出掛けた土曜日の夜、、
まず、左手を上げてタクシーを止めた。
タイのタクシーは、ご覧の通り空の場合、助手席側のフロントガラス越しにランプが灯っている。
この手のタクシーは基本メータータクシーだが、朝夕のラッシュ時、雨が降っている時(特に、降り出したスグ後)は、運転手の気分と都合で、値段交渉タクシーに変化する仕組みだ。
その変化にタイ人自身も辟易している様で面白い。
当然、乗車拒否も当たり前で、客を選ぶ権利は運転手が持っているんだとの考えだ。
要は、俺っちの車で運んで欲しいのかいッ、だったら俺の言い値になるがOKか客っち、と言う理論だ。
もはや、サービスを提供していると言う考えはゼロだ。
政府も、観光立国としてのメンツか、乗車拒否に対して罰則を強化して対処しているが、何の役にも立っていない様だ。
ただ、取締り警察官にとっては、握り賄賂(お目溢し)のチャンスが増えたから喜んでいるかも知れない。
まあ、雨降りに笑顔でタクシーに乗せて頂いたところで、前には殆ど進まない。恐ろしい程の交通渋滞が待っているだけなのだ、、
30分で100m程しか進まない。メーターは、ドンドン上がって行く。時折運転手がフロントガラス越しに上を見て、
フォントク•ユ(雨がたくさん降っている)と溜息混じりのタイ語を聴かせて、ここがタイ王国である事を思い知らせてくれるのは、旅の楽しみと捉えておけば良いだろう。
今一納得出来ない諸氏は、11月報告済みの「力シリーズ、コミ力、海外出張重要5スキル、移動力」を参考になさるが宜しかろう。
さて、左手で止めたタクシー、ドアは自分で開け、そして、行き先を告げる。
運転手が小さく頷けば、乗って良しの合図だ。後は、タイ料理の匂いがこもった車中で暫しタイの雰囲気を味わえば良い。
しかし、この日は少し違和感があった。
まず左手でタクシーを止め、左手でドアを開け、行き先を告げ、運転手が頷く、ここまではいつも通り。
よし、ならばと身体を屈めて車内へ潜り込んだその刹那ッ、
ようやく活躍の場を得た我が愛しの右手を、、
後部座席にドンッ、とついて屈んだ身体を支えた時だ、
あるッ。
ついたその右手の下に、四角いものが感じ取れる、、
紛れも無い、サイフだ。
二つ折り、男性用、新しい、、一枚二枚じゃ無い、、かなり入っている感じだ。
右手の違和感センサーは、的確にさまざまな情報を伝えてくる。流石は我が右手と感心している暇はない。
まだ身体は屈んだままで着座はできていない。右脚が車中、左脚が外、正に今車中へそれを引き込もうとする、その瞬間の出来事だ。
騒ぐな、落ち着け、ゆっくりとだ、
普段は、後部座席、助手席後方、ドアから12cmの位置に着座するマナーをキチンと守っている私だが、今夜だけは、ダンシングヒーローだ。
引き込む左脚を大き目に車内へグイッとやると同時、右手の四角いやつを握りしめ、体全体をやや運転手の後方寄りに差し込んだ。
諸氏もよくやる、タクシーに二人で乗る時、先行者がグイッと奥へ進むあの動作だ。
しかし、今夜の私は一人きり、余り奥へ行くのも不自然だ。
諸氏もあまり経験がないだろう。タクシーに一人で乗って、運転手の真後ろに座る。
従って、奥く過ぎず、かと言って、右手が運転手の視界から消える場所、、
そう、ど真ん中だ!
ちょっと尻の所が盛り上がっている。
私は、身の丈6尺で、座高も高い。
バックミラー越しに運転手が怪しんだ微笑みを送って来たが、私の真剣な眼差しに怖気(おじけ)付いたか、微笑みを取り下げてゆっくりと出発のウィンカーを作動させた。
どうする、、
中を確認したい欲求で、脳内物質のアドレナリンがドーパミンへ移り変わっている感じがする。
クソッ、今は駄目だッ、運転手がたまに左目の端で、未だ位置を変えず、座り心地が悪い筈で、頭が天井にほぼ密着している私を捉えて来る。
どうする、どうする、、
既に、鼻汁とエンドルフィンまで出て来た様子だ、脈はとっくに150のレッドゾーン、、
行き先は近くで遠くない。信号も赤になったタイミングで、
ここで降ろしてくれッ、
唐突の降りるコールに運転手が振り向き訝しがる、、
ここでか、
そうだ、
ちッ、運転手は舌打ち混じりに左に寄せてタクシーを停車させた。
分かっている、無理をさせたのは私だ。
多目のチップを渡すと、分かりやすい笑顔で、コップンカー〜プ🙏、ワイ(合掌)までしてくれた。
さて、タクシーからの脱出に成功したものの、今から中身の確認だ。
人通りの少なくない幹線道路、少し進んで四角いやつを一旦ポッケにしまい込む。
今回は、現金剥き出しじゃない。ミドリガメ君も出番無しで寂しそうだ。
よし、このソイへ左折だ。
ソイとは、タイ語で路地の事で幹線道路より暗い場所だ。
余り奥へ行くと危ない。
曲がり角から15m程入り込み、ポッケの四角いやつを取り出し眺めて見た。
色は黒、二つ折りで真ん中に白いラインが縦に走っている。材質は本革で安物じゃない。
二つ折りを真っ直ぐに開いて、札入れ部分を御開帳だ。
バァーン、、、
ワァ〜オッ、いっぱいある。
新札の1000バーツ札が、20枚と、こちらも新札の100USドルが、2枚、、
1000バーツは、約3600円、ドルは100で1万円ちょっと、、
合計で、わ〜お、いっぱいだ。
サイフの他のスペースを丹念に捜索したが、個人を特定出来る物は何も無い、、
どうする、、
これを警察に届けるのは簡単だ。
しかし、それでは、150パーセント、警官のポッケに収監されてしまう。
うーん、何か良い手は、、
分かったッ!
本来の目的のままにすれば良い。
このサイフの中身、時刻と状況から察すると、ご主人様が羽目を外す為の軍資金である事は間違いない。
ならば、使い手が変わったところで不足はあるまい。
ワシがこの手で冥土へ送って進ぜよう。
長い夜であった。人助け、いや、金助け、やるもんじゃない。
タイで一晩、一人で10万程も使えば、大概はグダグダになる。
あー、土曜の夜で良かった。
↓南無阿弥陀仏

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