不可思議事件簿、人生初勝負、教訓
位置に付いて、、
よーい、どんッ!
シャーッ、
昨夜、タイミングを見計らっていた。
これまでの人生7年で、最高の緊張感である。
何と、切り出そうか、
あんなー、お兄ちゃん、、お願いがあるねん、、
うーん、違うなぁ、
こんな気弱な感じは、ダメだ。
よう、アニキ、、勝負じゃ、、
これだと、相手にされないかもしれない。
よしッ、援軍を頼もう。
お母様、実は、、
これこれ、しかじか、でして、是非この挑戦状を兄へ届けてください。
ニタニタッ、って笑ってすんなり、了承。
おーい、お兄ちゃん、弟くんが、勝負やて、、
母上、凄い、ストレート。
でもまあ、いずれにせよ、こちらの気持ちは伝わった。
兄は、とても嫌がったが、母の説得の前には、逆らい用も無い。
そして、ついに、決戦の号砲が放たれたのだ。
両者、壁キック、ロケットスタートをきって互角、
この瞬間、行けるッ、と心が高鳴った。
5m、10m、必死に腕を動かした。
この夏の成長を兄に、母に、いや、自分自身に見せつける為に、、
15m過ぎ、頭一つ、こちらがリードしているか、、
興奮度Max状態だ。
うッ、ぷ、
しかしッ、ヤバい、息が、、
心臓を必要以上に高鳴らせたせいだろうか、
普段とは違う水面コンディションのせいだろうか、
いずれにしろ、息継ぎが必要であると、股間から緊急要請が出始めた。
この夏、水泳教室で必死になって取り組んだ、面被クロール。
しかし、残念ながら、ひとつだけ、克服し切れず捨て去った技が、
息継ぎ、、だ。
それを、今この本番で、試すことになるとは、、
えーい、もう我慢の限界だ、やるしか無いッ、
ぶッぱぁ、ヒー、、
瞬殺だった。
口を開けると同時に大量の水が流れ込んで来た。
気管と食道に、同時に入って来たから、たまらない。
ここは、水深2mなのは諸氏もご存知のはず。
息継ぎを克服している兄は、前へ、
他方、未だ克服の道が見えていない私は、下へ進む事になる。
ゲポゲポ、ヒー、ゲボゲボ、
既に、溺れている。
涙、よだれ、、失禁すら始まっているかもしれない。
手は動かしているが、前には進んでいない。
上下運動に変わっている。
記憶に残る、兄の後ろ姿、、
追いかけたかった。
どうやら、負けのようだ、、、、
溺れた私は、プールサイドから、母の指示を受けたジェントルマンに助けていただいた。
25m、泳ぎ切った兄が振り返り、こちらを見ている。
完全敗北。
溺れて試合放棄、こんな結果、想像すら出来なかった。
この年代の一夏は、恐ろしい程の経験を積み上げる。
教訓、
溺れてはいけない。
↓南無阿弥陀仏
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