不可思議事件簿、人生初勝負、挑戦状
兄との決戦を前に、徐々に実力を増す我が泳力。
面被クロールでかなり躓(つまず)き、涙を啜ったが、
えら呼吸を習得出来そうなくらい塩素水を腹に納めた事で、身体が一回り大きくなった。
フッ、これでまた勝利へ一歩近づいたかッ。
しかし、未だ面被クロールとの戦いを続けている。
克服出来るのか。
一進一退の進捗状況に突破口が見つから無い。
何とか、自らの推進力で浮力を確保出来るようになったが、どうも息継ぎが出来ない。
相も変わらず、口から大量の水が流れ込んでくる。
ガブガブ、ヒーッ、
ん?
口を開ける=水を飲む
あーッ!
7才の俊傑は、ついに、突破口のヒントを見つけたようである。
単純だった。
口を開け無い=水を飲まない。
Very good!!
想像通りだ。
しばらくの間、この大発見に酔いしれ、試みては列に並んで、再挑戦の繰り返し。
あっと言う間に、自分のものになって来た。
5mが、10mに、そして、15mぐらいは、行けるようになって来た。
決戦は近い、
身体が、戦いを望んでいる。
待て待て、まだだ。
15mを数回こなしたに過ぎない。
目標の25mは、まだ先だ。
来る日も来る日も、面被ったままのクロールの練習、
既に、息継ぎは捨てている。
うーん、何度か20mまではやって来た。
しかし、息継ぎ無しだと、15mを超える辺りから、やたらと股間が悲鳴を上げて来る。
漏れそうな感覚に襲われる。
時には、括約筋すらモゾついて来る。
ダメだ。
命懸けで思い付いた独自の克服法だが、もう一息が続かない。
水泳教室は、もうすぐ終わる。
時間が無い、間に合うのか、25m。
とにかく、あと一息で向こう側の壁に、手が、届いた、、
ッ、シャーーッ、
ウゲウゲ、ふー。
やった、ついに自分の世界を克服したのだ。
恐ろしい程の達成感だ。
全身が震えている。
その後、何度か失敗はあるが、成功確率が50%を超えて来た。
行ける。
逸る気持ちを抑えられない。
よしッ、今夜、決行、挑戦状だ。
つづく、、
↓南無阿弥陀仏
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