【前半報】ポールダンスの向こう側(シドニー編)

ねえ、今どんな気分?

右側に座った姉さんにこう聞かれたのは、丁度ダンサーが私の両膝の上に跨った瞬間だった。

えッ、

派手なアップテンポな音楽から曲がバラード系に変わったのと同時に、そのダンサーはステージを降りて、細い通路でスポットライトを浴びて上半身をのけ反らせた。

彼女の熟れた体を包む衣装はほんの少し、客の肩に触れ、頭を撫でて、顔を両手で挟んで、頬にキス。

しかし、目だけは端から端を探るようにダンスに合わせて動かしている。

上手い。

流れるようなダンスで客の注目を一身に集め、今日の獲物を探しているそのブルーの瞳は雌のハンターのそれだ。

ここは、シドニー・キングスクロスにあるセクシーダンスを売りにしているBAR(バー)の中だ。

日本風に言うなら、ストリップ劇場という男の社交場だ。

姉さんは、ずっとこっちを見ている。

ダンサーが、私の両手を掴んで、尻に回して他の客にアピールしている。

ヒュー、ヒューッ、ピー、ピー、指笛が盛んに鳴り響く。

余りにも私の事を見ている姉さんが気になったのか、ダンサーが、あ・な・た・も・して欲しいと私の膝の上から立ち上がった。

周りの客達も、興味津々で私達の方を見ている。

ダンサーにモーションを掛けられた姉さんは、右手を顔の前で何度か行ったり来たりさせてNo,No,No,を連呼していた。

性的なマイノリティーを受け入れる巨大都市シドニー。ここは何でもありだから姉さんにちょっかいを出したダンサーはちょっと不満そうだった。

なーんだ、あ・ん・た・ノーマルなのッて感じでステージに戻って行った。

なぜなのか、理由は今一分からないが、私は女性からこのストリップなるものに連れて行って欲しいと頼まれることが結構ある。

もちろん、女性が関心を持っていても不思議ではないが、ストリップやポールダンスは男が楽しむエンターテイメントと相場は決まっている。

しかし、海外では、割とポールダンスやストリップショーをやっているBarに女性客の姿が多いのだ。

ただ、そこにやって来る女性達は男っぽいのが多く、決してパステル系のワンピースで、ひらひら、ふわふわって方々ではない。

ジーンズや、革のパンツに、ジャンパーを着こなし、ちょっと田舎だとネルシャツを羽織った女性も多かった。

飛び交う会話にしても、ヘイ、ジョージ、今日はもう済ませて来たのか、あハハハ、みたいに明るいが決して英会話学校では習わない挨拶を投げている事が多い。

ま、この辺は、万国共通だと妙に納得したことを印象的に覚えている。

これまで、オース、ニュージー、カナダ、アジア諸国、日本等で、さまざまなタイプのダンスショーを実地検分して来た私が言うのだから間違いはない。

ちなみに、日本のストリップ劇場は、海外のそれとはかなり趣が違うことは押さえておきたい基本作法の一つだ。

日本のものは、「観る」に近く、海外のものは、「楽しむ」に近いことは諸氏も御存じのことだろう。

そうは言うものの、果たして、日本の女性陣の如何程が、

だよね~、日本のと海外のはホント随分違うよね~、って反応できるかは全く分からないが、結構こっそり行って、知っているのではないかと推察している。

おそらく、30%ぐらいの女性が知っているのではないだろうか。

さ、本題に戻ろう。

って、今日は何が本題か分からんが、、

一応説明を加えて置く。

冒頭、登場した姉さんの話だ。

彼女とは、シドニーのユースホステルで知り合ったと記憶にある。

当時は、もちろんガイドブック全盛時代。細かい情報は、現地に赴き口コミで集めるしか方法が無かったのだ。

仕事(アルバイト)にしても、宿にしても、ヒッチハイクの情報だって口コミか伝言掲示板の利用だった。

シドニーに到着して数日が経ったある日、共同キッチンで夕食の準備に取り掛かっていた時、2人連れの女性が話しかけてきた。

ねえ、君って日本人だよね。

えッ、

いきなりの質問だ。

英語で、Are you Japanese? って聞かれたことはあるが、

その時ですら、頭に、Helloとか、H~i、とか付いているのが普通だった。

ま、お尋ねとあらば、お答えしよう。

Oh-Yes、日本人ですが、、

これから、夕食なの?

ご覧の通りで、ここはキッチン、右手に包丁、左手には玉ねぎを持っております。

この状況で、誰が包丁の実演販売とか始めるん、

ちなみに、もしそうなら、あなたは買ってくれるのか。

まあ、良い。

ハイ、親子丼でも作ろうかと、、

いいわねぇ~、

おいおい、なにが良いのか、玉ねぎを狙ているのか、、

チョット、相談があるんだけど、、

私達、さっき到着したばかりで、この辺の事よく知らないの、

もしよかったら、食事分けてもらえないかしら、、

ほー、やるな姉さん。

かなりの剛腕、直球ストレートだぜ。

でも大丈夫。なんせ、ここはユースホステルだ。

こんなのが日常的なのも既に経験済み。

今朝も、旅立つスウェーデン人のカップルに、食パン、バター、ジャム、ジャガイモ、人参、ピーマンなんかをまとめて全部頂戴したばかりだ。

ただ、この玉ねぎは自分で購入したもので新鮮だった。

ま、旅は道連れ、見知らぬ人ともスグに打ち解けられる私、異存は無かった。

どうぞ、少し多く作りますからご一緒に。

もう一人の女性は、止めなさいと窘(たしな)めている感じであったが、腹が減っていたのか強くは否定していなかった。

食事を共にして、さまざま旅のプランや目的を聞いていると、大体の事はお互いに理解できた。

姉さんの名前は明美(あけみ)、もう一人の方は、ヨシエさんで、

明美姉さんは、会社を経営している女社長とのことであった。

友達のヨシエさんが強烈な失恋をしてしまったらしく、見るに見かねて今回の旅に連れ出して来たとのことであった。

さっきまで、全くの赤の他人だった私と2人連れの女性。

ユースホステルやバックパッカーズ利用の旅は面白い。

出会いは偶然に始まり、飯を分け合い、時間を費やし語り合えば、自然と相手を受け入れる気持ちが芽生えてくる。

そして、あッという間に友達の様な距離感に縮まって行く。

ねえ、お願いがるんだけど。

何です、またかいな。

距離が縮まったとは言え、まだ、2時間そこそこ、こうもお願いが続くとは、、

何でしょうか、恐る恐るゆっくり聞いてみた。

あのさー、私達これから、繁華街へ行きたいんだけど、一緒に行ってくれない?

出来れば、ストリップを見に行きたいんだけど、、

場所は、キングスクロスってとこらしいんだけど、、

なるほど、事前情報は仕入れてあるらしい。

場所も分かるし、行ったこともある。

どうしよう、でもこれって、なんか、ムフフ系のお誘いなのか、

それも2人まとめてか、、

少し、返事を躊躇っていると、

分かった。バイト代出すよ。

えッ、金くれるの、

行きます。

貧乏旅行者の条件反射なのか、金と聞いた瞬間、反応してしまった。

じゃ、私達ちょっと着替えてくるから、15分後ぐらいに玄関でね。

あ、ハイ。

ストリップのエスコートか、一体どうなるんかなぁ、、

つづく、、

 

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