テレビ出演、決定! 不可解事件簿、毛、後半報
前回は、殆ど本題の内容をお届けせず、主に余談であったのは申し訳のない事であった。
続きは、こう言う話しだったのだ。
テレビ番組にメールを送って、暫く経ったある日、
見慣れぬメールに、ドキッ、
あッ、返信だ。
制作会社からであろうか、
連絡ありがとうございますと、丁寧な返事を夜の遅い時間に開いたのを覚えている。
当時、私は海外に勤務しており、一人居残り残業をしていた時だった。
返信の内容は、写真を拝見しました。”15cmもの腕毛”、とても凄いので是非出演して頂けませんか、との事であった。
正直、こちらが驚いた!
まさか、返事が来るなんて。ましてや、テレビに出るのか、、
早速、得意の妄想シュミレーションを発動させた。
主題は、毛だが、もはや己が浜ちゃんの横に立って、ツッコミを入れられているシーンをイメージしている。
うっほーッ、これやってくれんかな、俺の頭で、、
うーん、しかし問題が一つある。
先程も申し上げた様に、私は海外にいる。直ぐには行けないのだ。
しかし、チャーンス!
テレビに出てみたい。
この育てに育てた腕毛を記録に留める事が目的で、こちらからアプローチしたのだ。
取り敢えず一旦返事を書こう、すらすら〜、スラ〜ッ、、
どんな反応があるか、正直分からなかったが、いやいや、世の中分からない。
これが大受けとなったのだ。
先方曰く、海外から、わざわざ腕毛の為に帰国して頂けたら最高ですッ!
ほー、あなた、私を刺激するのがお上手ね。すっかりその気になってしまったじゃないか、、
担当は続ける。残念ながら飛行機代は出ないが、国内移動費はサポートするとの事、
ん、国内移動費、電車代のことか。
まあ、良い、こちらが言い出して乗り込んだ舟だ、もう前に漕ぎ出すしか無いだろう。
少し余談になるが、この育てた毛、実は初代の毛では無いのだ。
コイツの一代前は、左肩後ろ、肩甲骨の上にいたヤツの次なのだ。
コヤツも結構育って、12cmオーバーだったのだ。
その頃は、ダイビングを趣味にしており、ウエットスーツの脱着も頻繁だった。
しかし、不思議なもので、あの荒っぽい取り扱いにも拗ねる事も無く、真っ直ぐに育ってくれたのだ。
朝に夕に、風呂場で愛でる一本の人毛、、
潮に染まってか、キラキラとその身を輝かせている。
そして、その一本は、13cmにあと少しとなったある日、私の人指し指と中指に挟まれて、プッとその生涯を閉じたのだ。
あッ、と声が出たか、
あーッ、と声が出たか、
今となっては、記憶が定かではないが、とてもショックだった事を思い出す。
ま、人は大きなショックを受けてなお、またその対処法を学び得るから大したものだ。
失敗から立ち直るには、新たなる挑戦と成功が気持ちを支えてくれるし、
失恋なら、新しい恋が心に暖かさを取り戻してくれる特効薬になるだろう。
その観点からすると、毛には毛、抜け毛には次の毛、と言う事だろう。
じっと待った。
次は、何処から生えて来るのか、、
数ヶ月程、時を重ねたか、、
遂に、次が来たのだ。
右腕中央部、やや肘に近い辺りに黒々とした、周りのそれらとは明らかに違う、豪毅の一本。
その発見からどのくらい時が流れたか記憶にないが、今回もかなり、スパルタに育ててやって、、
そして、遂に15cmと言う驚異の金字塔を打ち建てたのだ。
途中、中程に固結びが出来るアクシデントもあったが、何とか針を使って解いてやった強者でもある。
さて、テレビ出演を快諾し、一通りご近所さんへ挨拶を済ませた私、
非常に気持ちの良い時間を過ごしていた。
収録が2ヵ月程先である事も確認していた。
後は、エアーチケットを用意し、帰国の途に着くだけだっだ。
番組への出演を快諾してからは、なるべく右腕を使わない様にしている。
この毛に、もしもの事があってはいけない。何かアクシデントが有ると、浜ちゃんとの共演に赤信号が灯ってしまう。それはダメだ。
何としても、後2ヵ月、持ち堪え無くてはならない。
普段は、気にも留めていない一本の毛、いざ守るとなると大変だ。
シャツに手を通すにしても、シャワーを浴びるにしても、それは過保護に時を送るしか無い。
番組担当とは、何度か連絡を取り合い、それでは日本でお会いしましょうと、最後のやり取りを交わした後、出発まで緊張感を持って過ごしていた、、
そんな、ある日、、
朝食の席に着いた我が目が捉えた衝撃の事実、
け、毛が、半分消えている。
ジュワッツ、どうした、、
うー、、、あ、あれだ。
あの、固結びの所だ、切れている。
どうしよう、、
丸二日考えた。
似た様な毛をアロンアルファで繋いでとも考えたが、、
まず、似た様な毛が無い、
とても無理だ、ガッカリである。
人生に置いて、項垂(うなだ)れると言う言葉を身に染みて理解したのはこの時だった筈だ。
しかし、もう、どうにもならない。
担当に国際電話を入れた。
トゥルルルー、ガチャッ、
誠に申し訳ないのですが、あの毛、毛が半分の、7cm程になってしまったのですが、、
えッ、どうしたんですか、、
後は、平謝りするしか無かった。
出発まで、後10日程と言う、ギリギリの時間での出来事だった、、
担当は、ま、7cmでもかなり長いですし、写真も有りますからと慰めてくれたが、、
7cmごときの短い毛で、一体どんな顔して浜ちゃんのツッコミを受けろと言うのか、、
残念ながら、私にはとても出来ない相談であった。
↓南無阿弥陀仏
月額たった 1,000円(税抜)で始められる本格的なお店のホームページ!
WordPress専用クラウド型レンタルサーバー『wpX Speed』