衝撃事件簿、ジャムの一生
時は流れ、季節は進む。
今日、シーズン初の柿を食した。
購入した時点で、熟れ加減が著しく進んだ個体であった為、皮を剥く作業は困難を極めた。
部分的に、完熟の向こう側、ぐじゅぐじゅで、手の平から櫁が垂れる。
何とか、皿に盛り付けて見るが、とても柿の切身には見えない。
自重でどんどん皿へ広がって、柿の海と化している。
とにかく、早く口へ運んでくれと悲鳴を上げている。
仕方ないッ、
啜り込んであげよう、
ズルーッ、
ズッ、ズボッ、チャッ、ッ。
最後の、ッ、は指を舐める音だ。
さて、本題に入ろう。
このドロドロ柿を食して、ある悲しい記憶が蘇って来たので、報告しておきたい。
あれは、今日と同じような秋風感じる、日曜日だった。
友と共にマーケットを徘徊していると、とても安価なぶどう🍇を発見した。
1kg=NZ $1.99ドル、ぐらいだった。
一つ摘んでみると、思いの外甘い。
色違いを合わせて7、8kgも購入してしまった。
友と分け合ったが、己が取り分は割と多い。
気持ちは、固まった。
今日は1日、ジャム作りに費やそう。
ご存知の諸氏がいらっしゃるかもしれないが、葡萄ジャムを作るには、時間が掛かる。
帰宅後1時間、丁寧に下処理を施し、ぶどうを鍋に入れて火にかけた。
当時のコンロは、電熱で、こんな感じ👇👇👇
(イメージお借りしております。)
グツグツ、グラグラ、くーるくるッ、
んーッ、まだだ。
時を待つ間、ゆっくりと読んだ時代小説、上下巻を読破した。
夕刻6時、遂に、
色、艶、匂い、肌触り、見た目、
全てに置いて、我が感性を満たしてくれる逸品に仕上がった。
早起き、ショッピング、読書と料理、、
我ながら、ゆっくりとした、オータムサンデーを過ごしたものだ。
さて、味見、、
パンをトースターにかけて、バターを取り出して、、
ジャムの鍋をこのままにしていると、渦巻きコンロの余熱で焦がしてしまう。
鍋を持ち上げ、置場を変える。
うわッ、うーーわッ、
何ーッ、
片手鍋を持ち上げ、地上30cm程であったろうか、
片手鍋の、手が、取れたのだ。
完全に、分断され、
手には、取っ手だけが、軽々しく持ち上がり、
眼下には、
180度、反転して、
渦巻きコンロの上に、
見事に着地した、葡萄鍋のケツが、
早く、何とかしてと、ヘルプミー、、
ばンッ、
トーストが焼き上がった。
音に反応して、一瞬トースターに目をやるが、
それどころじゃない、、
鍋を掴みかけて、気付く、
この鍋は、熱い。
咄嗟に手にした、フォークで鍋をひっくり返した。
あー、あー、あーッ、
ジャムが、あわわッ、
渦巻きコンロの中に、吸い込まれる様に垂れ落ちて行く。
その光景は、ブラックホールに吸い込まれる渦巻き銀河のようだ。
パニックになっているのか、流れ落ちるジャムを、また手で掬おうとして、思い留まった。
熱々ですよ。
かーッ、
灼熱のジャムを目の前に、なすすべも無く、だだ茫然と、、
何とか対処できたのは、
焼き上がったトーストで掬い取った、一枚分の葡萄ジャム。
美味かった。
誰かに食ってもらいたかった。
しかし、今となっては、後の祭りだ。
バターは、塗ってないが、少し塩が効いているのは、
きっと、己が涙で味付けしたせいだろう。
↓南無阿弥陀仏
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