本魔界事件簿、白のワンピースの女人、その2

白ワンピの彼女との出会いは、たまたまの偶然だろう。

しかし、その体験を機に私の能力が大きく前進したのは間違いない。

見える力、感じる力、が一気に解放されてしまったのだ。

あれ以来、彼女は私の一夜を支配して行く事になる。

少し余談になるが、私には今一つ身に付けた能力がある。

それは、自分の夢をコントロール出来るという力だ。

簡単に言えば、見たい夢が見られると言う優れものだ。

若かりし頃、憧れの君と秘密のムフフを強く念じて眠りに就いたものだ。

成功確率は約6割、自分的にはコントロール出来ていると分類している。

6割かよと、お感じになられた諸氏、安心されたい。

プラス2割位は、ストーリー的に振られて終わるから、、大事ない。

このスキル、後々に生きてくるから、覚えて置いていただきたい。

さて、細かい事はさて置き、話しを戻そう。

初めての出会いからそう遠くない、ある夜の事、、

少し飲み過ぎたか、

家へ帰るなり、グッと睡魔に襲われて、スラックスを脱いだところで、

自分の匂いがぎっしりと染み込んだベッドに倒れ込んだ。

せめて、歯を磨きたい、、

、、、

睡魔の前では、理性など全く歯が立たない。

まあ、今夜は、この心地良さに身を委ねよう、、

眠り落ちたのは、ほんの数秒後だったのだろう、記憶に無い。

ッん、何時だ、少し寝たか、

ベッドヘッドの時計を見ると2:56分、

あまり好きな時間帯じゃない。

子供の頃、この時間帯にトイレに行くのは、恐怖の世界に足を運び入れる行為に等しかったのを思い出す。

その記憶が蘇って、トイレに向かう大人な私の全身を鳥肌が一気に走る。

くそッ、こんな時に限って、長いなッ、

早く出ろよ、下腹にグッと力を入れて、飲んだビールを浄化した。

よしッ、もう一回寝よ。

直ぐに寝付けず、寝返りを打つ事数回、、んッ、

何故か、天井が近く見える。

その時だった。

うわぁッ、

誰、あんたッ、

足元から、四つん這いで、女人が、這い上がって来る。

ゆっくりと、来る、

女の右手が、俺の膝を、

グッ、と掴んだ。

上半身をずり上げた。

頭は枕の上、顎を引いて見下ろして見るが、

次の一手は、左手が太ももに上がって来る、

いかんッ、

ずり上がろうにも、頭の先に、スペースが無い。

首をひねるが、力が入りきらない。

恐怖で、両手で、がっしりと、シーツを握りしめている。

歯は閉じ、口はイの形なのに、音は、

じゅッー、ッーっ、と

唾はみ出るが、声が出せない。

その時、やっと気付いた。

コイツ、あの白ワンピだ、、

一瞬で、恐怖が全ての感情を凌駕した。

目だけが、その恐怖に耐えている。

そんな刹那、なぜか、一言だけ吐き出せた。

なんで、、、

女は、少しだけ顔を上げた、

つづく、

↓南無阿弥陀仏

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