男の胸は、女が三度飛び込むように出来ている。
女性が、男の胸に飛び込んで声を出す。
男にとっては、待ちに待ったスーパーチャーンス!ではないだろうか。
立っているのがやっとで、力が抜けて、もう、その身を委ねるしかないという状況だとしたらどうか。
思わず、「いらっしゃいませ」と言ってしまうかもしれない。
私は、これまでに2度、このような体験をしたことがある。
世の中に、男女の営みは数多あるが、一般人の身にはそうは起こらない特別な出来事だと思う。
ま、君がジャニーズ何某だと言うなら話は別だが、そんな人はこの聖書(別冊バイブル)を読んだりしないだろう。
ん、この意見に何かご不満があれば、是非とも教会の小部屋へ行き、こう問うていただきたい。神様はなぜ私を作ったのかと。
ま、私は、それでも2度も経験したのだから、まだマシな方だと思っている。
人間と言う生き物は、より弱い者をイジメることで己が存在を確認しストレスを減少させて何とか生存しようとする生命体なのだ。
まあ、その辺の事は、別のユニーク賢者がどこかで語ってくれているだろう。
★★
一度目は、齢12才になる頃であった。
当時の記憶を遡ると、巷ではボーリングブームが過ぎ去り、アイススケートが頭角を現してきた頃との覚えがある。
金曜日の放課後、数人の級友たちと連れ立って、少し離れたスケートリンクへ向かう路線バスに乗っていた。
我々は、そこが定位置と決めたわけでは無いが、お年寄りに席を譲る事を徹底的に仕込まれていたから、全員が運転手のすぐ後ろに立ったままで乗車していたのだ。
鉄道やバスに乗り込むと必ず知識をひけらかす奴がいるが、この時も、乗車早々に始めた奴がいた。
このバスは、何年式で、最大乗車人数は○○人、冷房車として利用され始めたのは○○年から云々と、ほぼ利用価値のない情報を得意げに披露してくれたのだ。
皆、一瞬は何か、おー、スゲーみたいな雰囲気になるが、情報があまりにも玄人向けすぎて、成長期のキッズの心を長時間惹きつけておくことは無理だった。
私は、割とその手の話もいけたが、誰かが詰まんねーよー、TVの話しようぜ、なんて言い出すと、皆で同調してあッという間に撃沈させられる類の話だった。
その何某君には誠に申しわけないが、いじめの恐怖に打ち勝てず、私も皆に迎合してしまったのだ。許してくれ。
誠にかわいそうだが、この様な結果を招いたのは間違いなくマニアックな兄か父であろうから、恨むならそちらだ。
しかし、俺たちはこのくらいの事ではへこたれない。軽いジャブと受け流し会話は次へ次へと進んで行く。
その時だった。
運転手が、前方の何かの異変に気付いたのか、ブレーキを急にポンピングさせて速度を落として来た。
ガッコン、バッコンって感じでバスは徐行速度になり、後方の立ち乗り組みが数人、あッと前のめりに踏み出して来た。
俺たちは心得たもので、皆で手を取り合い小さな円になって衝撃の力を分散させてバランスを保った。
ブレーキの犯人は、どうやら前方で起こった交通事故のようだった。
運転手が、急ブレーキをかける旨のアナウンスを入れたかと思うと同時に、
ギーーーッ。
力強く踏み込まれた停止ブレーキの第二波が襲ってきた!
ドカッ!
何かが、私の胸に飛び込んできた。
かなりデカい物体との衝突だった。
第一波の衝撃の後、車内チェックの為に振返っていた私は、モロにその物体を胸に受け止めてしまったのだった。
物体の正体は、20歳前後と思われる、お姉さんだった。
当時、私の身長は157.5センチ程度で6年生としては大きな方だった。
しかし、体重は、40Kg程で男と呼ぶには未だ早すぎる身体(からだ)だったのだ。
当然のように、ドカッと来た瞬間に、私も同時に吹っ飛んで、友達の円の中へ倒れ込んでしまった。
だが、この年齢の友情と反射神経は素晴らしいとしか言いようがなかった。
皆で力を合わせ、私とそのお姉さんを見事に受け止めてくれたのだった。
お姉さんは、前のめりに突っこんで来て、私にぶつかる瞬間に身を躱(かわ)そうとしたのか、自然とそうなってしまったのかは分からないが、私の方へは、背中から飛び込んで来たのだった。
ドカッと来たから、咄嗟に両手を前に出して受け止めてあげた。
サッと、抱きかかえるように差し出した両手には、ブニュ~とお姉さんの胸のやわらかさが手のひらの中に広がった。
流石に、モミっとはしなかったが、お姉さんは反(そ)り返って、私の上に乗っかっている。
それを級友の手が支えとなり大きく転ばずに済んだのだ。
私とお姉さんは重なったまま同時に引き起こされ、ようやく密着を解かれたのだった。
大丈夫ですかと声を掛けた。
すごく小さな声で、大丈夫ですと言って後ろの方へ戻って行かれたが、とても恥ずかしそうだった。
それはそうだろう。バスの後方に立っていた人が、どったんばったんと飛ぶように前方まで転んで来たのだ。
大人として恥ずかしかったのだろう。
いや、ひょっとすると、胸のCカップを私に背後からしっかりとタッチされたことが恥ずかしかったのかもしれない。
今となっては、確認のしようもない事だが、後者の方にやや部があるのではないかと私は見ている。
運転手は、交通事故の側を徐行で通過して一旦バスを停車させた。
「乗客の皆様、お怪我はございませんか」と急ブレーキを詫びながら尋ねたのだった。
幸いにも、乗客の中に怪我をした人はおられず、それではと運転手はバスをゆっくりと再出発させた。
★★
二度目は、20代の血気盛んな頃だった。
私は、それまで通学を除けばあまりバスに乗る機会が無かった。
だが、その日は、たまたま用事があってバスに乗車していたのだった。
車内は割と混んでいて空席はなく、仕方なしに運転席の後ろに立っていた。
バスの車中、それも運転席の後ろに立っていると言う状況的な刺激と揺れの刺激が合わさって、あッと昔の事を思い出したのだった。
そうだ、昔、急ブレーキで女の人が飛んできたことがあったぞ。この場所は危ない筈だ。
また飛んでくるかもしれない。
しかし、あのころに比べれば私は随分と成長している。
身の丈は、既に6尺になったし、体重だって70数キロにはなっていた。
これなら、相手がよほどの肉厚系女子でない限り受け止める自信があった。
ただ、背中へのタックル攻撃はダメだ。背骨が危険だし防ぎようがない。
よし、分かった。
ここに立つ場合は、やや斜め、願わくば運転手を背にして後の方を向いて立つことが出来れば万全なのかもしれない。
目的地まで、停留所は後二つ。
しかし、この辺りは、この路線の最大の難所となっており、勾配のキツイ坂道が続くのだ。
最初は上り坂、運転手はギアを一段下げて、アクセルをブーンと一回吹かしてから、一気に踏み込んだ。
ブーン、グーン、とローギアの頑張り音が車中に響く。
後ろ向きの私は、少し前かがみで踏ん張った。
ガクンとギアが外れて、ようやく頂上を迎えた様だ。
今度は、下り坂。
今まで前のめりになっていた体が、後ろへ引っ張り戻される。
そして、次の瞬間だった。
ギアか抜けて、ふっと体が重力から解放された時だった。
ドカッと、またもや、女人(にょにん)が私の逞しく育った胸の中に飛び込んできたのだった。
今度は、前向き同士だった。
私は、両手を彼女の背後に優しく回し、グッと受け止め、反動で後ろへ引き戻されないようにと力を入れて支えた。
彼女は少し私の腕の中で揺れ動いていた。
驚きと焦りで足のバランスを崩しているのだろう。
女性が落ち着くのを待った。
時間の経過とともに、女性も状況がつかめてきた様子だった。
そして、すみません。と謝った彼女の頬はうっすらとピンクに染っていた。
きっと、今、自分が見知らぬ男性の若さ漲(みなぎ)る胸の中に優しく包まれている状況を理解したのだろう。
そして、バスは坂道を下りきり、少し進んで左に寄せてバス停に止まった。
ほれほれ、トメさん、着いたぞ。
いつまで若い男に抱かれとるんじゃ。はよー。
顔がピンクになっとるでにゃーか。
同乗のおばあさん達みんなに揶揄(からか)われて、トメさんは軽く会釈してバスを降りて行った。
さあ、世の女性たちよ。男はいつでも、あなた方を待っている。
だから、安心してこの胸に飛び込んで、いらっしゃい。ウヒヒ。
★★★
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