150メートルの相合傘

昨日、最後の渦巻きに火を点けた。

緑の先が赤く焼けて、しばらくすると白い煙がふわ~と部屋に流れ込んだ。

もう夏も終わる。

新しいものを買うのは来年にしようかと悩んだが、秋を先取りして蚊に刺されるのも嫌なので新しいものを買いに行くことにした。

時刻は夕方の少し前だった。

歩いて神社の横を通り抜けた時、ゴロゴロゴロッと上の方で音がした。

家を出た時はそうでもなかったのに振り返って空を見上げると、もうすぐそこまで来ているような鼠色だった。

ショッピングセンターまではあと少し、距離にして150メートルほどだ。

急ぎ足になったが、タイミング悪く信号が赤に変わってしまった。

ポツリ、ポツリ、振り出して来た。

むっとする空気の中で、ボンボンと5、6人が傘を広げ出した。

割と大粒だから、こりゃザーッと来るぞ。

信号待ちの全員が、早く早くと青になるのを願った。

私もバッグに忍ばせていた携帯用の折傘を開いたが、このサイズだとザーッと降られると役に立たない。

ん?

何やら後ろに視線を感じて振り向くと、小さな女の子が立っていた。

ありゃりゃ、傘無しか。

このままでは、この子はすぐにずくずくになってしまう。

声を掛けてみた。

入っていくかい?

聞いた私は身の丈6尺、小さな女の子の方は1メートル未満とかなりの身長差があった。

この小さな傘に入れてあげたところで雨はかかってしまう。

それでも、女の子の「ありがとう」の一声で相合傘をすることになったのだ。

信号が変わって、歩き出した。

雨が強くなってきた。

彼女を濡らすまいと傘をグッと掛けてあげた。

女の子は私を見上げながら少し速足で私の横を歩く。

たった150メートルの相合傘。

入り口に着いた時には、二人ともすっかり濡れてしまっていた。

それでも、小さな女の子は、ちゃんと顔を上げてお辞儀して「ありがとうございました」と言ってくれた。

8月の相合傘、わりと素敵な出来事だった。

★★★

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