【9. 高二の俺は何もできなかった。】駅裏 雀荘物語

学校でスーパーヒーローになれた気持ち良さがあったのか、

リョウ子さんに頼まれるがままに、ミッチャンの相談役を仰せ付かってしまった。

どうしよう、なんて聞けばいいんだろう。

昨日、泣いてたの? どうしたの?

こんな、ド直球、今や小学生だって投げやしない。

これまでの人生経験を振り返って探してみたが、記憶のどこにも対処法が見つからない。

くそ-、出たとこ勝負になるのか、

こんな方法しか持ち合わせていない自分が不甲斐なかった。

シュッパイ味と共に、緊張感が逆流して上がってくるのが分かった。

カラン、コローン、、

おはよう、ノッポ。

ちょっと、タバコ、行こっか、

ぁあ、ハイッ/

しまったッ。

完全に、声が裏返ってしまった。

トントントン、

ミッチャンの足取りは軽やかな感じだ。

あれッ、元気出て来たのかなあ。

ここは、3階の喫煙場所。

この場所でタバコを吸うのも、もう慣れっこになった。

シュボッ、

お気に入りのジッポーに火を点けて、

お先にどうぞと、ミッチャンの方に腕を伸ばした。

そのジッポーを握る俺の手に、少し自分の手を添えて、

チラッと、こちらを見てから、

スーと、女の子らしくゆっくりと吸い込んだ。

触れられた、手の甲に、柔らかな、指の感触が残った。

じっとその個所を眺めていたいような、大事にしまっておきたいような、

膨らんでいく大きな胸の高鳴りを静めるように、

その手をジッポーと一緒にポケットへ仕舞い込んだ。

どう体調、マシになったの?

昨日は、元気ない顔だったけど、、

うん、正直、まだ元気はないかな、

凄く嫌なことがあったから、、

へー、そうなんだ。

ねえ、これ吸ったら、ちょっと外のベンチへ行こうよ。

えッ、でも仕事中だし、、

なんかね、リョウ子さんが気を遣ってくれて、

ノッポが凄く心配して、俺が話を聞くんだって言ってるって、、

そ、そりゃ心配するよー。

クソッ、リョウ子仮面め、さすがに大人だ。

話が、全然盛られてしまっている。

ま、悪い感じじゃないし、いいか。

今、喫茶の方、お客さんも少ないし、フォローしてくれてるから、大丈夫だって。

そうなんだ。

じゃ、俺も、2階に声かけて来るよー。

一緒に階段を下りる途中、2階へ声を掛けると、

先輩の佐山君が、おー、OKと親指を上げて、行って来いよと言ってくれた。

後で佐山君に聞いたのだが、リョウ子さんが根回ししてくれたのだった。

ミッチャンと、外のベンチに座ると、また缶コーヒーをおごってくれた。

昨日は、ありがとね。遅い時間だったのに、、

学校、大丈夫だった?

ああ、ぜんぜん、大丈夫だよ、あんなの。

それに、学校で、バイトの事みんなに話して、

マダムとか、部長の話とかさ、、

へーェ、そっかぁー、楽しそうだなー。

ミッチャンは、学校どうしてんの、行ってないの、

うん、あんまり行ってない、かなッ。

どうして-。

ミチコ、頭悪いからねー。

ハハ、それは俺と同じだな。

聞くと、小学校の時は転校が多くて、友達がいなくて、

中学に入ってからは、ただの不良になって、

うーん、仲間はいたけど、あんまり友達はできなかったんだよねー。

そうかぁ、そうなんだー。

だけど、今はバイトの仲間がいるから楽しいよ。

でも、昨日、泣いてたみたいだしさー、、

えー、バレてたかぁー、、恥ずかしいよ。

いやー、俺は気付かなかったんだけど、

リョウ子さんが、そうじゃないかって、、

そっか、リョウ子さんかぁ、分かってて昨日は何も言わなかったのかー、

リョウ子さんらしいな、

だね。

で、どうして泣いてたの。

うーん、実はね、

土曜の夜に、お母さんが、病院に運ばれて行ったの。

えーーッつ、病院って、倒れたの。

病気なの、今は、大丈夫なの、

だよね、普通そう思うよね。

とりあえず、大丈夫みたいだけど。

そっかー、良かったね。

それが、良くないのッ。

ミッチャンは、強めの調子で否定した。

ゴメン、ノッポ、

違うの、、

お母さん、自殺したの。

えー、えーーッつ。

なんで、

聞いている自分の方がパニックになって、ビビった。

自殺なんて言葉、テレビかニュースでした見たことがない。

ちょっと待って、それでお母さん大丈夫なの?

とりあえず、大丈夫みたい。

次の言葉を探したけど見つからなかった。

しばらく、間があいて、

それに、今回が初めてじゃ無いの、お母さん。

これで、2回目。

1回目の時は、ホントにびっくりしたけど、

今回は、そうでもなかった。

前の時も、ちょっと、切っただけだったから。

もう、聞いているだけが精一杯だった。

高二の俺に何が出来るのか分からなかった。

ただ、黙ってミッチャンの横に座っている事しかできなかった。

リョウ子さんが聞いても理由を話さなかったのは何となく分かった。

でも、俺だって同じだし、ただ聞くだけ、、

なあ、ミッチャン、この話、俺にして大丈夫なの?

俺は、全然かまわないけど、

誰にも言わないし、

リョウ子さんにも言わない。

、、、

ありがと。

ノッポでいいの、タメだしねー、

え、一コ下でしょ。

おんなじ、なの。

ま、いいけど、どっちでも。

ねえ、タバコちょうだい。

ああ、はいはい、

それから、二人でタバコを吸って、いろいろ話をしてくれた。

お母さんは、一人じゃ何もできない人らしく、

ずっと、男に振り回されて、

ミッチャンには、お父さんが二人いて、

今は、そのどちらも、いなくなったらしい。

じゃ、お母さんと二人?

うん、

一応、お姉ちゃんが一人いるけど。

今は、どこにいるかも知らないよ。

ひょっとしたら、お母さんは知っているかもしれないけど、、

そうか、そうなんだー。

お姉さん、いくつなの?

23歳。

ちなみに、お姉ちゃんのお父さんは、別の人だから。

うわー、複雑。そうなんだ。

なんか、大変だなー、ミッチャンって、

俺なんか、学校行って、バイト来て、友達と遊んで、

それだけ、だし。

正直、頭の中で聞いた話の整理はついていなかった。

本当なら、もっと、いろいろ聞いてあげた方が良いんだろうけど、

これ以上聞いても、複雑すぎて、良く分からなかった。

そんな、俺の気持ちを察してか、

ゴメンね、こんなウザい話で、

いやー、ゴメンはこっちだよ。

驚いてばっかりで、俺なんかに話してもらっても、相談になんないからさ、

なんか、ゴメンって感じだよー。

ううん、ありがとう、ノッポ。

前の時も、苦しくてみんなに話したんだけどね、

みんな中学生だったし、分からないって感じで、

何人かの子には、ウザイって言われちゃったし、

それで、もう話すのやめようと思ったの。

そうかー、じゃ、今日、バイト終わったら、また話そうよ。

別に、普通の話とかでもいいからさ。

大丈夫だったら、リョウ子さんも一緒に、

凄く心配してくれてたから。

優しいなあ、二人とも。

とりあえず、戻ろっか。

その言葉を合図に、俺は2階の雀荘へ、ミッチャンは1階の喫茶へ戻って行ったのだった。

つづく、、

—————————————–

【予告報】

結局、その夜は、リョウ子さんも誘って、再びミッチャンのアパートへ行くことになった。

しかし、そこで聞くことになった話は、ベンチで聞いた話よりも、さらに衝撃的な内容だった。

俺:えーーーーッ/、

リョウ子さん:えーーーーーーーーーーッ/、

それッ、本当の話なの? えーーーーーーーーーーーッ、

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