ミャンマー人、月給8,000円~
ここ数年グングンと上がる労働者賃金。ミャンマー人にとっては嬉しい限りであるものの、同時に物価上昇も始まっています。特に、ヤンゴンの中心部での家賃が高騰しており、地方からの出稼ぎ組には大変な重荷となっています。
8年前(2012年)と現在(2020年)の労働賃金と比べると、1.5~2倍になったのと実感。
当時、ヤンゴンの私の事務所で電話受付してくれていた18歳の高卒女子の月給が80,000チャット(ミャンマーの通貨)でした。それが、現在は、15,000チャット出さないと人が集まらない状況になっています。
(*10,000円=約130,000チャット 参考為替レート、2020年5月25日)
(*チャットの価値もかなり下がっていますので日本円で考えた場合はそこまで変化がと言えるかもしれません。)
さて、ミャンマーの労働者市場を見た場合、いくつかの注意点があります。
当然のことながら、労働者人口、労働者年齢、労働者の学歴、労働者性別、労働意欲等々、一般的な情報を掴んでおくが基本です。加えて、労働者の生活環境(家族兄弟の人数、実家の稼業、家庭の経済状況)も理解しておく必要があるでしょう。また、ミャンマー人労働者を欲している近隣諸外国の動きを把握しておくことも必要になります。
まず、ミャンマーの教育水準。
これまで、幼稚園、小学校、中学校、高校の合計で11年制の教育システムを導入していました。このため、ミャンマー国内の高校を卒業したところで海外の大学へ進学することができませんでした。したがって、海外大学への進学希望者は、シンガポール等で専門学校や大学準備コースを最低一年間積み上げて、大学入試資格を得なければならなかったのです。
しかし、現在は教育改革が進み、高校卒業時12年制への移行が始まっています。詳しくは、ミャンマー教育省へ問い合わせていただきたいのですが、現在(2020年)の小学4年生(10歳)あたりから新制度の対象となっている筈です。
次に、大学進学率です。
ミャンマーの大学は、ヤンゴン大学が一番の大学となっています。生徒数は、約20,000人です。
現在は、随分と改善されてきましたが、ミャンマーは数年目まで(現在国家顧問である、アウンサンスーチーさんも軟禁状態だった)軍事政権だったのです。その頃は、学生運動を厳しく制限されており、大学の学部が別々のキャンパスへ強制的に移転されており、多くの人数が一堂に会して勉強するのを阻止されていました。
その弊害もあるのでしょうか、人口に対しての大学数がとても少なく感じます。
現在、ミャンマーの大学生は500,000人程度で、その大半が通信教育の大学生です。したがって、大学卒業資格を有する者の大半も通信教育で取得した学士資格となっています。(特定技能ビザや留学生ビザの申請にあたり卒業資格の提示を求めた場合、大半がこの通信教育での学士資格となっています。)
続いて、諸外国の受入れ状況です。
- 国内労働市場
- 隣国(アセアン諸国)での労働市場
- 韓国、台湾、中東での労働市場
- 日本での労働市場
2011年頃から、諸外国はこぞってミャンマーへ急速な投資を開始しました。現在は、少し落ち着いていますが、今後は再び投資が活発になるものと想像しています。
一例として、2012年頃に国営の通信会社が民営化(外国企業)される前までは、携帯電話の普及はほとんどゼロレベルでした。それが、2018年末には、96%ぐらいの普及率になっていますから、あっという間の出来事です。
しかしながら、電力の供給が脆弱で一般生活の中でも停電が良く起こります。(2020年現在、かなり改善されました)このため、さまざまな産業への投資が立ち遅れことは否めません。
そんな国内事情もあって、一旦は建設ラッシュから建設業への肉体労働者がヤンゴンへ流入しましたが、現在はストップしています。
そんな中、韓国は、単純労働者へのビザ緩和政策により、万人規模でミャンマー人労働者を受け入れています。また、台湾も数年前に50,000人規模のミャンマー人労働者受け入れ政策を発表していました。
少し古い時代(10年から15年前)に遡れば、隣国タイの経済成長に合わせて、ミャンマー人(18歳~25歳)が約300万人、タイで出稼ぎ労働しています。タイに関しては、特別な労働許可が発行されています。
ここ数年は、マレーシアの経済成長に伴う労働者不足を補う労働者としてミャンマーからかなりの数が流入しています。
そんな状況下、2019年4月から始まった日本の特定技能制度での労働者の受入れ。
給与水準は、今のところかなり魅力的で、日本という国の評判が良いこともあり、かなりのミャンマー人が今後流入してくることが予想されています。
↑
ざっと、書きました。もっと詳しくアップデートしていきます。2020年5月25日