ブラックリスナー
この季節、突然に、新人営業くんが、私の巣に迷い込んでくる。
今日も来たッ。
よーしッ、美味そうに、疲れ気味じゃないか。
ままッ、まずはこちらへ。
私は基本、飛び込み営業を拒まない。
どちらかと言えば好物である。
そして、必ずお茶を出すようにしている。
まぁ、飲んで。
名刺を頂いて、一通り挨拶を済ませたところで、考えた。
今日は、金曜日か、、、
よしッ、今日はこれを最後の仕事にしよう。
山田主任、私にもお茶お願い。(簡単な作業じゃないか。)
こちらは、日中の新人研修で疲れきっているのである。
金曜日の夕方に、エネルギーはあまり残っていません。
所詮、大したことが頭に残らない新人研修。なんで、あんなにパワポ資料をたくさん作らせるのかが理解できません。
挙句の果てには時間まで決まっています。
20分ッ、ですよ。
営業職ッ、すよ。
私に課せられたタイトルは、
「大先輩からの営業の極意。」
できるか、そんなもんッ。
まッ、そのストレスの発散対象として目の前に、新人営業君が、、、可愛そうか、
いやッ、彼に極意を授けよう。
うんにゃん、うんにゃん、だから、うんにゃんにゃーん。
ひと通り、喋りたいことを喋り終え、腕時計に目をやると、小一時間ほど経っていた。
新人くんも、バテている。
聞いてみる。
Are you OK?
大丈夫です。勉強になります。
よしッ、来た。
その言葉も、大好物。
そりゃ、そうさ、入ってきたのは君だからね。
まあ、待て、もう少しで終わる。
ここからは、15分ほど掛けて、営業の大変さ、今の苦労がいつか報われると締めのトークに盛り込んで。
言うときますけど、入ってきたのは君だからね。
まぁ、私も鬼じゃない。
1時間半の君の努力に、感謝の気持ちを込めて名刺を渡します。
きっと、彼の記憶の中に、飛び込み営業の真の怖さが芽生えたかもしれない。
そろそろ5月も終わる。
6月もまた誰か来るかなッ、
来て欲しいな、できれば金曜日に。
↓南無阿弥陀仏
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