不可解事件簿、アンティーク

私が初めてアンティーク(=骨董の類)に目覚めたのは、高校生の頃である。

皆さんも良くご存知のTV番組「開運!何でも鑑定団」が1994年4月のスタートだから、世間の方々がその影響を受ける少し前の話となる。

事の始まりは、実家にあった古びた一枚の扇絵だ。

ある日、大爺さん、大婆さんが揃って実家へ降臨された日があった。親戚一同も会していた記憶があるから何かの法事だったに違いない。

一通りの仏事をこなして夕餉の時間、酒も入って宴はかなりの盛り上がりを見せて来た。

いやいや、テッサイやって。絶対、テッサイやったって、、

本日参加の面々の中では一番年下の叔母の声に私の違和感センサーが遠くの席から反応した。

耳を澄ますと、どうやらテッサイと言う名について語っている様子。

後で分かるのだが、このテッサイは、明治の画家の名前で富岡鉄斎という。

まだあるって、どこにもやってないから、この家のどこかにあるよー。

随分と前の物だから、結構良い値になっているんじゃない、、

ほー、テッサイがこの家のどこかに、、

それは、聞き捨てならない話じゃないか、私は長男ではないが、紛れもない直系だ。

十分にチャンスはある。

皆、今日は酔ってるじゃないか。そして、もうスグ宴会もお開きだ。

その日に仕入れた情報だと、着物箪笥の中にあるとか、あちらの押し入れだとか、、今一要領を得なかった。

しかし、この家のどこかにテッサイという高価なお宝があるのは分かった。確認だ。

仏事の宴を数日前にこなして以来、頭の中からテッサイが消えなくなってしまい、高校生になって、初めて学校の図書館に足を踏み入れた。

ぁおッ、

図書室の先生は、おじいさん先生というあだ名がピッタシな、ひょろりとした歴史の先生だった。

私の突然の訪問に先生は言葉を失うほどの動揺を見せ、なぜここにいる?って感じの視線を投げて、

二の句が継げない感じだった。

まあ確かに、場違いな生徒なのである。

しかも、我を取り戻した先生は、どうした?何か用か?と聞いたのだ。

ありえない質疑だ。

高校生が、図書館に来て何が悪い。おかしな質問だろう。

ま、反対に、よく来たなー、ささ、こちらへと言われても困ってしまうが。

しかし、先生の気持ちも分かる。

その数日前、ちょっとした出来事があった。

6時間目の授業をサボってパチンコ屋に行った私。念入りに釘をチェックして、この一台と決めて神妙に着座した。

俺も、このぐらい真剣に学校の席に座る事が出来たらもっと凄いやつになっていたなと、ハンドルを握った瞬間、己の右目を疑った。

と、となりで学校の先生が玉をはじいているじゃないか、、

ヤバイと思った瞬間、先生にも気付かれた様子で、あッと二人で見つめ合ってハンドルをギュッと握った。

言うても、こちらは未成年。それほど失うものは何もない。いいとこ廊下でバケツ持って立つぐらいな時代だ。

しかし、流石に先生の方はマズイだろう。まだ学校では6時間目をやっている時間だ。

まあ、状況の説明はそんな感じだ。

結局、私は玉を買う前に先生に気付き、パチンコ台の椅子に座っただけで、あくまでも社会見学の一環だったというお裁きであった。

ホンマかー、これには、遠山の金さんもビックリしたに違いない。

先生の方は、良く分からないが2~3日顔を見なかったら、停職3日、いやいや、当時の事だから有給3日ってところじゃないのだろうか。

そして、その私の裁きの職員会議の参加メンバーの一人が、先程のひょろりおいじさん先生なのだ。

だから、何しに来た?って質問も分からないではない。

いやー、あのちょっと教えてもらいたいことがあって、、テッサイなんだけど、、

ほー、教えてほしい。今度は興味津々って表情で、「テッサイ」と復唱してくる。

そうです。テッサイです。

まさか、君がテッサイの事を聞きに来るとわねー、と半信半疑の表情のまま、美術系の本の中から、富岡鉄斎の本を一冊見つけてくれた。

これは切手で、イメージです

とにかく、かなり有名な画家らしく、売ればそれなりの値が付くことは分かった。

ひょろり先生、ありがとう。図書館ってスゴイじゃん。

これは、是非とも我が家の実物を拝まねばならない。

大体の情報を知り得た私は、早々に学校を離れ帰路に就いた。

夜、食事を済ませナイター中継に夢中になっている親父にそれとなく聞いてみた。

なー、テッサイってどこにあるん?

え、テッサイか、あの扇絵の、、

おー、知っているじゃないか、

ゴソゴソ、ガサゴソ、そして、見つかった。

これやな、だいぶ汚れてるし、色も変わってるなあ。もう、何描いてあるか分からへんなあ、これ。

確かに分からなない。真っ黒だ。(実物の写真は無いですが、こんな感じでした。)

うぐーッ、本当にテッサイなのか、、

隠したのか、、

残念ながら、当時の私には親父の言葉の真贋は見分けられなかった。

諸氏よ、価値のある書画骨董の類、そう簡単に入手できる分けがありませんからご注意を!

 

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