海外事情、バリ、ロンボック島、第二報、秘薬
全身全霊で作り込んだロンボックの旅行計画、腹の虫のせいでかなり雲行きが怪しくなって来た。
到着後二日間の体験と言えば、緑色のチリを噛み砕いて身悶えした事と、8時間爆睡した事だけだ。
初日のダイビングを終えた皆が、その日の楽しさを伝えてくれるが悲しさと悔しさだけが込み上げてくる。
ダイビングでは、海の透明度や魚の群れ、でかい魚に遭遇すると興奮するらしい。
私は、やや変わり者で空気の残量をずっと眺めて、如何に少ない量の空気でダイビングを終了するかに取り憑かれている。
要は、空気をあまり吸わないのだ。
そんなダイビングの何が楽しいと良く聞かれるが、どうしてもやめられない。
そういう意味では、一人残されたバンガローで、限りなく細い息で呼吸し、時には息を止めながらトイレの往復をしていたので行動としてはほぼ同じだったかもしれない。
さて、なんとか入手したペインキラーだが、痛み殺しとは名ばかりで、ただの睡眠導入剤的役割しか果たさなかった。
二日目、三日目と、ほぼ断食状態。今では、熱まで上がってきた。
さっき、39℃を超たようだ。
なんの知識も持ち合わせていない4人組。
一人の様子を見るために、本日のダイビングをキャンセルしてくれたのだ。
非常に心細い。
たまに、部屋から出て来て(ムフッた後に)、
だいじょうぶ？
と、覗き込んでくれるだけだ。
もちろん、嬉しいのだが、こちらの体調は一向に変化がない。
どちらかと言えば、悪くなっている。
発熱、下痢、腹痛、意識混濁も少し見られるようになって来た。
ヤバイな。
ハジメの発言に少しみんなでおののいた。
3人が、何やら相談している。
よしッ。
おぉーッ、何かの結論に達したようだ。
もう一回、薬局へ行こう！
えッ、
あの、ドクロ💀マークの薬をくれた店へですか？
うん、あそこしか無いらしい。
とほほ、
こんな疲れきった身体で、また、腹痛ダンスとパントマイムするの。
とにかく、決は取られたようだ。
1号車、2号車に分かれて、いざッ。
薬局に到着後、3人が我先と店先で踊り出した。
Aちゃん、英語使わないと無理かも、とB子が促す。
B子は、私の知る限り、TOEIC200点レベルの猛者のはず。
えー、彼は、up出来ない。ずーっとsleep、オッナカ、イターイ、食べる、eatも出来ない、too、toilet、many,many time.
す、凄い。なんか、説明している。
でも、これ以上は勘弁してくれ、笑って漏らしそうだ。
そうねー。これなんか、どうかしら。
えッ、通じたのか？
店員さんが、何かの薬を出してくれた。
ホンマかッ、
up, sleep, eat, too, toilet, many, many, time
このパズルを、どう解き明かした？
そして、なんのクスリを出したんだ。
飲むのは、俺だぜ。
とりあえず、もう帰ろう。
もう、ヘロヘロ、限界だ。
バンガローに戻って、とりあえず、2錠飲んだ。
三人は、踊り疲れたのか軽い食事に行ったようだ。
彼らが戻ったのは、2時間後。少し眠っていた私も目を覚ました。
あれ？
少し気分がいい。明らかに、さっきとは違う。
まさか、秘薬だったのか。
パッケージに手を伸ばす。
そういえば、今回は、薬の名前すら確認せずに服用してしまっている。
どれどれ、
ほーッ、写真が載っているぞ、、
女性だ！
腹を抱えて痛がっている写真だが。
なんだ、なんだ？
裏を見ると、
あッ、
薬の名前は、インドネシア語でわからなかったが、
英語が二文字
period pain
=生理痛
なぜか、私は知っていた。
唖然とした。
こんなに効くのか、この秘薬。
しかし、女性は毎月こんな痛さに耐えているのだろうか。
男で良かったと思った瞬間であった。
つづく、、
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